水谷豊&成宮寛貴「これから2人で新たなステージに」と『相棒』の今後に意欲!
2000年の誕生以来、圧倒的な人気とクオリティを誇る国民的ドラマ『相棒』。3年半ぶりとなる劇場版『相棒-劇場版III- 巨大密室!特命係 絶海の孤島へ』が、4月26日より公開される。主演の水谷豊(杉下右京)と、3代目相棒として登場した成宮寛貴(甲斐享)が、絶海の孤島を舞台に難事件解決へと立ち向かう本作。成宮にとっては初めての劇場版となったが、水谷とのコンビネーションもぴったり!そこで、“相棒”としての想いと、『相棒』が第一線を走り続けられる理由を、水谷と成宮に語り合ってもらった。
ドラマは「season12」 がこの3月に放送終了、劇場版も第3弾が完成した。水谷は「『相棒』というのは、緻密な計算のもとに作ってきたわけではないんですね」と、これまでを振り返る。「『今、何ができるか』『今、どうしたら良いんだ』、そういう積み重ねでやってきたわけです。『さあ、どうなるか』ということは、やってみなければわからないんです。でも『相棒』には、必ず何かがそこには生まれるという思いがあって。どこか、たどり着く世界があるんですね。その時にやれることをやっているだけなので、実は不安やプレッシャーはないんですよ」。
今回の舞台は、太平洋に浮かぶ孤島。『相棒』×ジャングルという組み合わせが、何とも新鮮だ。水谷は「脚本が出来上がるまでに、どうやら次は絶海の孤島に行くらしいという噂が流れたんですよ(笑)。これは、期待しましたね。出来上がったら、絶海の孤島で大変なことが起きているじゃないですか。『相棒』というのは、いつも手強い相手に向かって行くんですが、そのなかでもかなり手強い相手でしたね」と、目を輝かす。
約1か月にわたる沖縄ロケを敢行。大自然のロケはさぞかし苦労があったのではと想像するが、2人ともが「苦労って覚えていないんですよね。大変なことってあった?」と顔を見合わせる。水谷は「ハブ注意とか、書いてあったね」、成宮も「スズメバチの巣があって。気づかないまま撮影をしていたら、大変なことになっていましたね。ジャングルでは、動物的嗅覚やアドレナリンが研ぎすまされた状態でいました」と笑う。アクションも満載で体を張ったロケとなったが、2人はそれを苦労と感じていない。「今を生きる」という“相棒イズム”が、苦労すらも笑い飛ばしてしまうようだ。
息もぴったりの2人だが、成宮がこんなエピソードを教えてくれた。「ジャングルのなか、嵐が起きるシーンがあって。風を起こす人、雨を降らせる人、雷をやる人など、見たことのないくらいの規模のスタッフがいて。ものすごい嵐の音で、豊さんのセリフがまったく聞こえないんですよ(笑)。でも僕は、ドラマをやってから映画に入って良かったなと思ったのは、『今、豊さん、セリフ終わったな』とか、『僕、言い終わりましたよ』みたいな、“相棒感”のような雰囲気が、セリフが聞こえないなかで感じられたんです」。
「そうそう!」と爆笑しながら成宮の話を聞いていた水谷は、「相手のことを探るようなところから『season11』が始まって、エピソードを重ねるごとに相手のことがわかってくる。わかってくると、やれることがどんどん増えてくるんですよね」としみじみ。「ナリ自身もね、やれることが増えている。これからが楽しみ。2人で次のステージに向かって行くなという気がしています」と、今後へと目を向けていた。
2代目相棒である神戸尊(及川光博)が登場することでも話題の本作。成宮は「右京さんと神戸さんの距離感や話し方を見て、『ああ、こういう関係だったんだ。右京さんとこうやって付き合ってたんだ』ということを垣間みられた。嬉しかったですね」とうなずく。水谷も「右京って、あまり友達がいないし、部下も辞めちゃうでしょう?そういう人だから、かつての部下と今の部下が2人一緒にいるなんて、右京にとっては嬉しい瞬間でしたよ」とニッコリ。
2代目、3代目相棒の共演が叶ったが、水谷は「カイトくん(甲斐の愛称)が入ったことによって、相棒の世界がまた広がった」と分析。「カイトくんを見る時に、父が息子を見るような目をしていると言われることがあるんですよ。僕は意識していんないんですがね。ナリに言わせると、右京が兄貴にも見えるし、時々、弟のようにも見えるらしいんだけど(笑)。僕のなかでも世界が広がっているんでしょうねぇ」と話すが、この広がりこそ、『相棒』が飽きられない、何よりの理由だろう。
「僕にとって、『相棒』を続けて行くことに難しさは感じていなくて。これだけやってきても、『相棒』はまだ何かあるんじゃないかと思わせてくれるんです。若い時は、同じものを長くやることなんてできませんでしたよ。これだけと思われちゃ困るとか、これもやりたい、あれもやりたいってね。でも今は、ひとつのことに向かって、どんどん奥に入っていくようになったんだと思います」。
成宮も「僕は『相棒』が愛される理由を、現場で実感できました。これが『相棒』の良さなんだというのを、毎シーンごとに感じられるんです。今までのスタイルをぶち壊しても良くて、それをどんどん新しい形に変えていく。ものすごく、豊さんから勉強をさせてもらっています」と、水谷との共演が、俳優人生にとっても大きな糧となっているようだ。
『相棒』の話をするのが楽しくて仕方がないといった様子の水谷と成宮。『相棒-劇場版III- 巨大密室!特命係 絶海の孤島へ』は、見事に今の時代性を捉え、手に汗握る一級のミステリーに仕上がった。『相棒』の勢い、留まることを知らず!と太鼓判を押したい。【取材・文/成田おり枝】