山田裕貴が井口昇監督作にビックリ「血が出たり、首が取れたりするシーンで、笑いが起こる!」

インタビュー

山田裕貴が井口昇監督作にビックリ「血が出たり、首が取れたりするシーンで、笑いが起こる!」

いきなり家族が誘拐され、その生命を救うために、デスレースに参加する。そんな衝撃的な設定で始まる『ライヴ』(5月10日公開)は、「リアル鬼ごっこ」などの人気作家・山田悠介の同名小説の映画化作品だ。本作で映画初主演を飾ったのは、「海賊戦隊ゴーカイジャー」で人気を博した山田裕貴。監督は、『ヌイグルマーZ』(公開中)などでカルト的な人気を誇る井口昇監督だ。本作で初タッグを組んだ2人にインタビューし、撮影秘話を聞いた。

山田が演じたのは、気ままに生きてきた青年・田村直人役。彼は母親が連れさられ、やむなくデスレースに参加をすることになる。まずは、映画初主演のプレッシャーについて聞いてみた。「初日はどの現場でも緊張するけど、初主演だったし、僕にすべてがかかっているとまでは言わないけど、それなりに背負っているものはありました。でも、その時はもう、やってやろう精神の方が勝っていました。立ってみて『やばい。俺、応えられているかな』という不安は正直ありましたが、初日が終わってからは、伸び伸びとできました」。

実は、クランクインの日が、いきなりクライマックスの見せ場の撮影日だった。井口監督は「いちばん思い詰めている直人をド頭で撮れたのは、逆に良かったかもしれない」と振り返る。「演出する側として、直人は本当はこういう人なんだという基準を置けたので。直人は、最初は嫌なヤツなんだけど、そのゴールが先に見えていたから、僕としては、やりやすかったです」。山田もうなずき「あのシーンが終わってから、僕も、ああ、ここにつなげていけば良いのかと道筋が立ちました。本質は悪いヤツじゃないというところから始まったので、良かったです」。

山田は井口組について「井口監督は現場ではマスコットみたいな存在感も出してくれていました。撮影はすごく時間に追われていたけど、そういう雰囲気は全くなくて、ほんわかやれたなという感じがします。内容は苛酷だったけど、ちょっと外れると落ち着ける。現場にいやすくさせてもらったので、助かりました。本当に楽しかったです」と、充実感あふれる表情で述べた。

劇中では、文字通り、すさまじいデスレースが展開される。いろんな人のバリエーションあふれる死に様は、本作の見どころでもある。井口監督は「役者さんのほとんどは、ご自身の見せ場が死ぬシーンだと思ってらっしゃるところがありました。だから、死ぬシーンの撮影はみなさん、うれしそうにしていましたね」と笑う。「デスゲームの話ですが、できあがってみたら、スポーティーな映画になったんじゃないかなと。自分で編集してみて、このゲームに参加してみたいと思ったりして(笑)」。

本作を、今年のゆうばりファンタスティック映画祭で観客と一緒に見た山田は、驚いたと言う。「血がドワッと出たり、首が取れたりするシーンで、笑いが起こるってことが、僕はあまり経験したことがなくて。あの雰囲気は、井口さんの作品ならではなのかなと」。

井口監督も、その場で共に見ていたと言う。「僕の映画は血が出たり、首が飛んだりするけど、やみくもに陰惨な映画って実は苦手なんです。見終わった、基本的にみんなが笑顔で、劇場を出てほしい。やっぱりエンタテインメントとしての映画が自分も好きですし、作りたいと思っているので。最終的には元気になれる映画が良いなと」。

確かに、あれほど、ハードな殺戮が繰り広げられるのに、見終わった後には、何か爽やかなものが余韻として残る『ライヴ』。井口監督ならではの味付けがされた、エネルギッシュでエキサイティングなデスゲームを、是非スクリーンで体感してほしい。【取材・文/山崎伸子】

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