第67回カンヌ国際映画祭までカウントダウン開始!
開会式まで一週間と迫った第67回カンヌ国際映画祭。コンペティション部門の審査員長は『ピアノ・レッスン』(93)で唯一の女性のパルム受賞者となったジェーン・カンピオン。9人の審査員中5人が女性という布陣には期待してしまうのだが、そうは問屋が卸さない。3人のパルム受賞経験者に加え、常連と各部門賞受賞を経てとうとうコンペ部門へという若手など、強者ぞろいの今年である。そもそも、女性監督の作品が、我らが河瀬直美を含め2人しかいないとは、意外だが…。ともあれ、今年のコンペティション作品を紹介しておこう。
マイク・リー『Mr.Turner』 イギリスの風景画家ターナーの物語。
ケン・ローチ『Jimmy's Hall』 アイルランドから追放された男が帰郷してダンスホールを再建していくストーリー。
ベルトラン・ポネロ『Saint Laurent』 独立当時のイヴ・サンローランを追う。ギャスパー・ウリエル主演ドラマ。
ミシェル・アザナヴィシウス『The Search』 チェチェンの少年とNGOの女性が出会う。ベレニス・ベジョとアネット・ベニング共演。
オリヴィエ・アサイヤス『Clouds of Sils Maria』 往年の名女優が過去の亡霊になやまされ、世界が崩壊していく。ジュリエット・ビノシュとクロエ・グレース・モレッツ共演。
ダルデンヌ兄弟『2Jours, 1Nuit』 仕事を救うためにはボーナスを諦めてと従業員に告げなくてはならなくなった女性経営者を描く。主演はマリオン・コティヤール。
アリーチェ・ロルヴァケル『Le Maraviglie』 テレビ出演の誘いが養蜂の一家を翻弄する。モニカ・ベルッチが出演。
ジャン=リュック・ゴダール『Adieu Au Langage』 夫のいる女性と独身男性の恋と葛藤が描かれる。
アンドレイ・ズビャギンツェフ『Leviathan』 悪徳町全財産を差し押さえられそうになった男は町長の汚職を暴こうとする。
ヌリ・ビルゲ・ジェイラン『Sommeli D'hiver』 アナトリアでホテルを経営する元俳優の、妻と妹との葛藤を描く。
河瀬直美『二つ目の窓』 奄美大島にくらす少年と少女。伝統と現実と葛藤しているのだが…。村上純の息子、虹郎が主人公の少年を演ずる。
デヴィッド・クローネンバーグ『Maps To The Stars』 ハリウッドセレブ一家の綱渡りのような人生は続く。ロバート・パティンソン、ミア・ワシコウスカなど豪華メンバーが出演。
グザヴィエ・ドラン『Mommy』 女手一つで息子を育てている女性の前にミステリアスな隣人が現れ、心かき乱す。ドラン監督が満を時してのコンペ入り。
アトム・エゴヤン『The Captive』 突然姿を消した娘を探す父。真実は8年後にわかってくる。ライアン・レイノルズ主演。
トミー・リー・ジョーンズ『The Homesman』 開拓時代、精神を病んだ女たちを療養所に連れて行く元女教師は一人の男を同行者に選ぶ。ヒラリー・スワンクとトミー・リーが主演。
ベネット・ミラー『Foxcatcher』 妄想を抱く青年がオリンピックのレスリング選手を殺害したという実話に基づく物語。チャニング・テイタム主演。
ダミアン・ジフロン『Wild Tales』 「世にも不思議なアメージングストーリー」に基づく6つのエピソード。
アブデラマン・シサコ『Timbuktu』 マリの若い一家が狂信的イスラムグループに殺害されたという実話に基づく物語。
今年はジル・ジャコブ会長が退任することが決まっている最後の年。ベテランぞろいのコンペに挑むカンヌが育て上げた若い才能がどこまで食い込むか。サプライズを期待してのぞみたい。【シネマアナリスト/まつかわゆま】