ピーター・ホー、尽くす草食男子役に「僕も良いと思った」
原田マハの人気小説を、アジアを股にかけて活躍するピーター・ホーとチャン・チュンニンを迎えて映画化した日台合作映画『一分間だけ』(5月31日公開)。本作のキャンペーンで来日したピーターにインタビュー。彼が演じた優しく支える草食男子の役作りと、ゴールデン・レトリバーとの撮影秘話について語ってもらった。
本作は、ひたむきに頑張る雑誌編集者のワンチェン(チャン・チュンニン)、彼女を優しくサポートする恋人ハオジエ(ピーター・ホー)と、2人が飼うことになるゴールデン・レトリバーのリラとの物語。ハオジエのキャラクターについては、昔の自分を投影させたそうだ。「僕自身も学生時代は内向的で、あまり自信がなく、もごもごしゃべっているようなタイプでした。だから当時を思い出して演じました」。
ピーターは、日本でいえば、シリーズ初の外国人ライダーを演じた『仮面ライダー555 パラダイス・ロスト』(03)など、骨太なイメージが強い。パブリックイメージとしてもアグレッシブな印象を受けるが、デビュー仕立ての頃は、自分に自信がもてなかったと告白。「たぶん当時は、人が自分をどう見るかってことや、どう評価されるかってことばかりを気にしていた気がします。でも、どんどんいろんな経験をしていくうちに、そういうことにこだわるのって、あまり意味がないことに気づき、自分を解放していったんです」。
ハオジエは、恋人ワンチェンのために料理を作ったり、彼女の足をマッサージしたりと、かなり献身的に尽くすタイプだ。「10年前なら、彼のような男性は、甲斐性がないと言われたと思いますが、今は男だから稼ぐとか、女だから家にいなきゃいけないとか、そういう時代じゃないし、男女平等でしょ?今回、監督(チェン・フイリン)も女性だったので、チュンニンと2人で『こういうタイプがいいよね』と何度も言われていました(笑)。僕も良いと思います」。
実際に、彼自身も「僕も機会があれば、ハオジエのように料理などをふるまってみてもいいかなって。それは生活の楽しみというか、潤いにもなるんじゃないかなと思うしね」と笑顔を見せる。
劇中では、ゴールデン・レトリバーのリラとのふれあいのシーンにも癒やされる。彼自身もジャーマンシェパードを飼っているというせいか、信頼関係は映像からも伝わってくる。「犬の前でセリフを言うと、僕の方をちゃんと見るんです。また、話を聞きながら反応し、まつ毛を動かしたりして、本当に面白かった。周りの芝居にちゃんと合わせるところがすごかったです」。
恋人たちの心が繊細に揺れ動くラブストーリーにして、犬のリラを含めた家族愛の物語である『一分間だけ』。ピーターたち俳優陣だけではなく、ゴールデン・レトリバーの名バイプレーヤーぶりもお楽しみに。【取材・文/山崎伸子】