浅野×北村×ユースケが意外なキャラを見せまくる!?
浅野忠信、北村一輝、ユースケ・サンタマリアという、日本の映画界をリードするキャストが顔を揃えた『鈍獣』が5月16日(土)に公開される。何度殺しても死なない主人公・凸やん(でこやん)と、彼をとりまく友人たちが織りなす、爆笑サスペンス・ミステリーだ。
原作は2004年に宮藤官九郎が書き下ろした舞台劇。“伝説の舞台”と語り継がれる作品の映画化にあたり、宮藤自ら脚本を手がけている。また、監督は日清カップヌードルのCM「FREEDOM」で知られるCM界の鬼才ディレクター・細野ひで晃。映画界への進出が待ち望まれていた逸材の登場である。
群を抜く脚本家と新鋭クリエイターによって、浅野、北村、ユースケのキャスト衆も新しい一面を引き出してもらったようだ。特に凸やんを演じる浅野は、信じられないくらい“鈍い”不思議キャラに挑戦。監督いわく「佇まいがちょっとヘンだった」ことが起用理由らしい。で、本人の感想は?
「凸やんは子供のような動物のようなキャラで、理解するには時間がかかると思う。憎めないんだけれど、わけ分かんない人物ですね(笑)。演じるにあたっては、これをやったら周りが引くんじゃないか? 怒られるんじゃないか? というものを敢えて選ぶという、いつもと違う選択をしました」。なかでも“もう、おしまい?”という凸やんの決め台詞は特にユーモラス。一度見たら忘れられない衝撃がある。
ホスト・クラブの経営者にしてホストの江田を演じる北村も負けず劣らずの濃いキャラ。だが、キャラが濃いからこそ人間らしさを醸し出すことを心掛けたという。
「見かけは強烈だけれど、みんな(観客)に近いのが江田だと思う。大胆な行動をとりつつも、いつも揺れているし、後悔もする、愛すべきキャラですね。ただ、今回は役に入り込む芝居ではなく、客観的に役を捉えるようにしました」。舞台となる田舎町“ときわ”はなぜか相撲中心の町という設定で、北村はフンドシ姿も披露! シコをふむシーンは「フンドシの隙間から見えてしまわないか心配だった(笑)」と、ドキドキの撮影だったと明かす。
ユースケが演じるのは警官の岡本。「躍る大捜査線」シリーズの真下警部補とはまったく違う、腰巾着のダメダメ警官役だが、演じる本人は「すごく新鮮だった」と、納得の笑み。その理由は?
「世間が抱いている僕のパブリック・イメージってあるじゃないですか。いい加減とか、テンションが高いとかね。ほんとはそうじゃないのに(笑)。そういったイメージをデフォルメした役というのは、実はやってそうでやったことがなかったんです。だからすごく新鮮で」。凸やんと江田に比べると見た目は普通だが、小心者のようで実は恐いヤツ。「武器を持たせてはいけない人間ですね(笑)」と、意外性が面白いと語ってくれた。
凸やん、江田、岡本──この3人の同級生が25年ぶりに再会したことで始まる物語は、笑いに満ちているが、根底に流れるテーマはかなりダーク。なのに最後にホロリとさせられる。何とも不思議なサスペンス・ドラマなのだ。「台詞の力はもちろんあるけれど、空気感や間の力がものすごく働いている」と、キャスト陣が口を揃えるように、独特の“間”はクセになるほど面白い!【ライター/新谷里映】