二階堂ふみ、「子どもが欲しい」「女優一本で行くとは決めていない」。その発言の真意とは?

インタビュー

二階堂ふみ、「子どもが欲しい」「女優一本で行くとは決めていない」。その発言の真意とは?

ひるまない女優・二階堂ふみ。浅野忠信と共演した衝撃作『私の男』(6月14日公開)では、禁断の愛に身を焦がすヒロインを、体当たりで演じ切った。孤独ななかで愛を渇望するヒロインの心の闇は、見る者の心を揺さぶる。今や日本映画界の逸材のひとりとなった二階堂にインタビューし、本作に懸けた思いについて話を聞いた。

原作は、第138回直木賞を受賞した桜庭一樹の同名小説。天災で両親を失い、10歳で孤児となった花(二階堂ふみ)は、遠縁の男・淳悟(浅野忠信)に育てられ、濃密な関係を築いていく。メガホンをとったのは『夏の終り』(13)の熊切和嘉監督だが、二階堂ふみは以前から熊切組を熱望していた。「熊切監督とは、別の作品のオーディションで初めてお会いして、運命的なものを感じ、この人と絶対やりたいと直感的に思いました」。

実際、『ヒミズ』(11)で初めて行った第68回ヴェネチア国際映画祭で、海外の媒体から取材を受けた時、いつか一緒に仕事をしたい監督として名前を挙げたのが、熊切監督だったそうだ。「だから今回、花役を演じることに戸惑いや不安は一切なかったです。ただ、熊切組に行けるだけで幸せだなと思いました」。

映画では本作の後、中島哲也監督作『渇き。』(6月27日公開)や、彼女の初主演映画『劇場版 神聖かまってちゃん ロックンロールは鳴り止まないっ』(11)の入江悠監督作『日々ロック』(秋公開)が控えている。出演作を選ぶポイントについても聞いてみたい。「その組に参加したいかどうか、その映画の1コマに、自分がなりたいかどうかということです。実は私、映画の現場に参加できるのなら、何でも良いんです。女優じゃなくても、ケータリング、特殊メイク、美術とかにもすごく興味があります。どのパートも大変だと思いますが、映画に参加できるだけで、私は幸せです」。今年で20歳になる二階堂ふみ。ここ数年で女優としての才能を開花させ、映画やドラマにひっぱりだこだが、彼女自身は「今でも女優一本で行くとは、決めていません」と言う。この春、大学に進学したが「それは、単純に勉強がしたいと思ったからです。大学へ行くことにより、自分が自分でいられるのであればそれで良いし、何事もやってみないとわからない。女優のお仕事はとても楽しいですが、天職だとは思ってないです。最近、自分が目まぐるしく変わっているなと感じていますし。昨日言っていたことが全然違うと思ったりもする年齢なので、今は自分自身を確立していく途中ですね」。

では、将来的に、どんな大人の女性になりたいと思っているのだろうか?二階堂は「子どもが欲しいですね」とつぶやく。「母が大好きだから、母みたいなお母さんになりたいと思います。結婚はいつでも良くて、20歳でしたいと以前は言っていたのですが、もう今年で20歳ですし、今は忙しいからできないし。ひまになったらしたいです。あと、20歳になれば、父や母と飲みに行けるから良いなと思います」と軽やかな笑顔を見せた。

凄まじい役どころにもたじろがず、どの作品でも女優魂を見せつけてきた二階堂ふみ。でも、女優業については、単体で自分自身が楽しむというよりも、チームで映画作りをすることに喜びを感じているようだ。また、公私の切り替えはきちんとしていて、普段は女子大生として、学生生活もちゃんと満喫しようとしている普通の19歳なのだ。その振り幅が、実にクールである。【取材・文/山崎伸子】

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