松田龍平が熱弁「蟹工船の時代よりも今の方が辛い」
2008年に再度脚光を浴びた小林多喜二の小説「蟹工船」が待望の映画化。4/10に記者会見が行われ、松田龍平、西島秀俊、高良健吾、新井浩文、柄本時生、お笑い芸人TKO、SABU監督らが登壇。
「蟹工船」は1929年の小説だが、ワーキングプアが叫ばれる昨今、160万部を超えるミリオンセラーとなり、2008年流行語大賞のTOP10入りを果たした。映画は、疾走感溢れる作風で知られるSABUがメガホンをとり、スタイリッシュな快作となったが、原作がもつ骨太なテーマはしっかりと受け継がれた。
松田龍平は、劣悪な労働環境を変えようと立ち上がる労働者のリーダー役。松田は原作を読んでいないそうだが、「蟹工船」の背景についてはこうコメント。「蟹工船では浅川という鬼監督がいるんですが、そういうわかりやすい敵がいない分、今の方が辛いのではないかと思いました。僕は単純に本作を観てパワーをもらったし、やれないことはない、なんでもできると思いました」
鬼の浅川監督役を怪演した西島秀俊も、本作のテーマについては熱い。「個人的に言いたいのは、考えろ、考え続けろってことでしょうか。僕は何かうまくいかないとき、考えることを放棄しちゃうんですが、そうじゃなくて、考えればイメージが広がって行動につながる。そこが個人的に響きました」
SABU監督も「考えるのを諦めてしまうと前には進めない。考えることが大事だなと思います」と訴えかける。また劇中のハイライトである松田龍平の演説シーンではかなりの手応えを感じたようだ。「龍平くんの佇まいや演技にみんなが引き込まれていき、それを捉えられたことがよかったです。勇気と希望が持てる熱い映画になりました!」
確かに映画は松田龍平が核となり、個性派俳優陣全員の情熱がスクリーンから発光しているような仕上がりとなった。時を超えて新たに再燃した「蟹工船」が、2009年も引き続き話題をふりまきそうな予感。不況のなか、くすぶっている方々よ、この映画を見てぜひ自分自身をふるい立たせて!【MovieWalker/山崎伸子】