ユ・ジテと伊勢谷友介、日韓の架け橋となる映画完成に感無量「僕たちの情熱を見てほしい」
『ザ・テノール 真実の物語』(10月11日公開)の完成披露試写会が9月25日に丸の内ピカデリーで開催され、ユ・ジテ、伊勢谷友介、北乃きい、キム・サンマン監督が登壇。韓国と日本の国境を越えた友情を描く本作に対して、ユは「“ハーモニー”を作り上げるためにみんなで心を込めて完成させた」、伊勢谷も「難しい時代だけれど、個人個人が愛情を持っていけばわかることもある。それは未来への希望」と熱い思いを語った。
本作は、声を失った天才オペラの歌手べー・チェチョルと彼の声を愛した日本人音楽プロデューサーとの絆を描いた、実話から生まれた奇跡の物語。同じく38歳、映画監督としても活躍するなど共通点の多いユと伊勢谷。ユは「伊勢谷さんはエネルギーに満ちあふれていて、いつも周りを明るくしてくださる方。本当に楽しく撮影することができた」とニッコリ。
伊勢谷は「一番共有しているのは志の部分」と口火を切り、「彼は自分の命をどう使うかをちゃんと考えている人。国境を越えてそういう人に出会えたのは幸せ」とコメント。さらには「すごい真面目でちゃんとしている。僕がないものを全部持っている」とユの人柄を絶賛し、「彼には奥さんがいて、僕には奥さんがいない。そういうところに差が生まれている」と話し、ユと会場の笑いを誘っていた。
日韓の橋渡しとなる本作は、ユ、伊勢谷にとっても思い入れの深い作品となり、役柄と映画に心酔し過ぎた伊勢谷は撮影後に「こんなに泣いたのは初めて」ともらしたほどだという。伊勢谷は「監督に泣き過ぎだと怒られた」と照れ笑い。「とても大事なことを表現している映画。こんなに一生懸命になった人が実在したことは、とても勇気づけられること」と力を込めていた。
またこの日は、本作が10月2日より開催される第19回釜山国際映画祭のパノラマ部門への正式上映決定が発表された。ユは「本当に素敵な思い出を作ることのできた作品。一緒に作ってくれた同僚のみんなに感謝します。僕たちの映画に対する情熱を見てほしい」、伊勢谷は「何か人のためにしてあげると自分のエネルギーになる。僕はこの映画でそのことをものすごく感じることができた」と感慨深い表情に。「『るろうに剣心』より見てほしい映画」と熱烈アピールして、会場を大いに盛り上げていた。【取材・文/成田おり枝】