哀川翔&小沢仁志「Vシネマは日本の未来」。アニキ2人が男気あふれる熱血トーク!
「『Vシネマを全力でやるとこうなります』っていう映画だよ。やっぱり王道でいかないと」。哀川翔がニヤリとして話すのは、東映Vシネマ25周年記念作品『25 NIJYU-GO』(11月1日公開)のこと。ともにVシネマ界を牽引してきた小沢仁志も「俺たちがやるなら、やるよ」と嬉しそうにうなずく。迫力満点のアニキ2人を直撃すると、ギラギラとした男気とVシネマへの熱き思いがあふれ出した。
ワケアリの現金25億円をめぐって、悪徳警官コンビ、横領公務員、老舗ヤクザ、半グレ集団、強欲ホステスら25人の悪党たちが繰り広げる強奪争を描く本作。“Vシネマの帝王”哀川を主演に、スクリーンの隅々まで濃いメンバーがそろい、エロス、バイオレンスなどまさに“何でもアリ”なVシネマの熱気ムンムンの映画が完成した。哀川は「もう25年も経ったのかと思ったけどね。『25周年の作品やるよ』って聞いたら、どんな役かも知らないけれど『いいよ』って言ったね」と本作へのオファーには即快諾したとか。初主演作となる東映Vシネマ『ネオ チンピラ 鉄砲玉ぴゅ〜』(90)が大ヒットとなり帝王まで上り詰めた哀川にとって、「Vシネマへの恩義」も感じたそうだ。
老舗ヤクザを圧倒的な存在感で演じるのが小沢で、「東映映画の100周年とかなら違うだろうけど、“Vシネマ”って付いたら俺にオファーが来て当然だろうってね。オファーする方だって、『小沢、これやるから』ってそれだけだからね」と告白。哀川が「俺はもうちょっと丁寧なオファーだったよ。小沢は監督もやったりしていて、現場密着だからね。『お前はもう、スタッフだろう』っていうぐらいの勢いなんだよ。もう長いもん!」と話すなど、2人からは数々の共演で培った互いへの信頼感、安心感が漂う。
ともにVシネマ界を牽引してきた2人だが、「日本の映画界が衰退してどうしようっていう時期に、良い時代を知っている人たちが『なんとかしなくちゃいけない』と言って立ち上がったのが、Vシネマ」と哀川。小沢は「だから、その香りが残っているんだよ」とコメント。哀川は「そういうことだな。新たな場所でやりきろうぜっていう熱があるね。Vシネマの燃え方は、むちゃくちゃに映画を撮っていた60年代の日活とかと、同じ感じじゃないかな」と話すと、小沢も「あとは、昔、独立系のATGが出てきた時と同じスタイルとも言える。それが俺らの世代では、Vシネマになっているんだよね」とVシネマの爆発力を解説する。
2人ともが、「俺ら作る側は、みんな映画本編だと思ってVシネマを作っている」と思いをあふれさせる。哀川は「小沢とか、頭おかしいと思ったもん。朝まで撮って次の現場に行ったり、ずっと寝ないからね」と笑い、「でも、それぐらいの熱きものがVシネマにはあるわけ」と胸を張る。小沢は「Vシネマは、日本映画の未来だと思っている。そこで人材を育てられるから。Vシネマは人を育てるキャパシティがデカいんだよ」とも。哀川も「そうそう、Vシネマでいろいろなことを学んで、あちこちで活用されているのも確かだよ。みんなフットワーク軽いし、何でもやるからね」と、自身を育ててくれた“戦場”ともいうべき場所への誇りがひしひしと伝わる。
小沢が「他の現場に行ったら、こんなに生温くて大丈夫かと思うね。高そうな弁当が出ると、『こんなの太るわ!』と思う」とインタビュー部屋を笑わせると、哀川が「じゃあ、食べなきゃいいじゃん」と突っ込み、さらにみんなで大爆笑。最後に哀川は「でも、こういう熱いヤツがいるからVシネマは面白いんだよね。そのエネルギーが『25』には集約されていると思うよ」とアピールしてくれた。清々しいほどの男気と真っ直ぐな情熱は惚れ惚れするほど。是非、男たちのエネルギーが炸裂する本作をスクリーンで堪能してほしい。【取材・文/成田おり枝】