樋口真嗣が『巨神兵東京に現わる』秘話を語る!
第27回東京国際映画祭で特集上映が組まれるなど、根強い人気を誇るクリエイター庵野秀明が館長の「館長庵野秀明 特撮博物館 ミニチュアで見る昭和平成の技」が11月1日より名古屋市科学館で始まった。
29万1575人を動員した東京都現代美術館を皮切りに、松山、長岡など各地を沸かせた本展。4箇所目となる名古屋市科学館で行われたオープニングセレモニーでは、体調不良の庵野秀明館長に代わって樋口真嗣副館長が登壇。初の科学館での開催に「特撮を語る上で地続きに楽しい場所になりました」と語り「最高のものができたと自負しております!」とその出来栄えに太鼓判を押した。
続くトークショーでは樋口副館長に加え、ミニチュアの修復師兼展示コーディネーターの原口智生(代表作『さくや妖怪伝』『デスカッパ』)、美術監督の三池敏夫も登壇。原口氏が「『特撮のミニチュア美術館みたいなものができたらいいな』という僕の思いつきを庵野館長が企画展というカタチにしてくれた」と開催の経緯を明かし、登壇できなかった庵野館長を気遣う場面も。
一方、副館長を務める樋口監督は会場で上映される『巨神兵東京に現わる』の監督も担当。庵野館長が『風の谷のナウシカ』でこの巨神兵の原画を担当していたことから、使用許可はふたつ返事で降りたものの、そこからが大変だったと明かす。「ゴジラやウルトラマンは中に人が入って動かすことができるけど、巨神兵はそれができないプロポーション(体型)で、思わず『これCGでやったほうが早い』と喉まで出かかりました。常識的に考えたらCGなんですけど、企画趣旨としてはそれができない。だから随分悩みました。(ジブリには)もっと人が入りそうなプロポーションの大きな生き物がいるじゃないか、毛むくじゃらな」と本音を漏らし場内を爆笑させる場面も。「でもやったことのないことを試行錯誤して、上手くいった時に出る“変な汁”がね、その場にいる全員から立ち上る瞬間があるんです。それがあるからやめられないんです」と特撮の魅力を語った。
実際、CG封印に挑戦した本作では、文楽の手法を使い3人で巨神兵を操縦する形で撮影。その舞台裏の様子は同時併映されるメイキング『巨神兵が東京に現われるまで』で楽しむことができる。
他にも「ウルトラマン」や『ゴジラ』で使用されたマスクや小道具、ミニチュアを始め、特撮作品の小道具500点を展示。名古屋会場ならではの見どころは、360度どの角度からでも楽しめるメカゴジラや天井のいたるところに吊るされている飛び人形、今まで以上に至近距離で見られる展示の数々。美術監督の三池さん曰く「ライティングがとてもいいので細部まで楽しめます」とのこと。さらに、今回2点の新作も登場。せっかくなので、ヒントを教えて貰った。
ヒント1 庵野秀明館長が死ぬほど好きなメカ!
ヒント2 庵野秀明館長が死ぬほど好きなデザイナーがデザインした宇宙にまつわるモノ
これには樋口副館長も「見た瞬間テンションがあがってiPhoneで撮影しまくりました」と明かすだけに、ぜひ見つけて欲しい。そう、この特撮展、実は目立たないところにもお宝品がいっぱいなので発掘する楽しさも。さらに、特撮ステージでは『巨神兵東京に現わる』で使用したミニチュアセットで実際に写真を撮影することもできるので、巨神兵になりきって撮影を楽しもう。【取材・文/大西愛】
期間:2014年11月1日(土)から2015年1月12日(月)
会場:名古屋市科学館
アクセス:地下鉄東山線・鶴舞線「伏見」駅下車4・5番出口から南へ徒歩5分
料金:一般1400円 高校・大学生900円 中学生以下500円