柳楽優弥「24歳のガキが言うのもなんですが、生きていくことは楽しいことばかりじゃない」
芥川賞作家・中村文則の同名小説を、柳楽優弥主演で映画化した『最後の命』の初日舞台挨拶が、11月8日に新宿バルト9で開催された。柳楽、矢野聖人、比留川游、松本准平監督が登壇。主人公・明瀬桂人役の柳楽は「撮影初日に『桂人は自殺に憧れてるんです』と言われて、新年早々、ヘビーだなと思いました。でも、しっかりと魂込めて挑みたいと思いました」と振り返った。
『最後の命』では、幼少期に遭遇した凄惨な事件のトラウマを抱える2人の男が再会を果たした夜、殺人事件が起き、衝撃的な事実が明かされていく。原作者にも柳楽にも、手紙でオファーをしたという松本監督。柳楽が「本当に直筆だったんですか?」と聞くと、松本監督が「字が汚くなかった?」と逆質問。柳楽が「汚かったです」と正直に答えると「じゃあ、直筆です」と監督が語り、会場から笑いが起きた。
矢野は、「僕は柳楽くんに襲われるという夢を見て。でもその時、不快な気持ちじゃなかったというと、語弊がありますが、それくらい入り込んでいたんだなって思いました」と本作に懸けた思いを吐露。柳楽も「『あ、そう』と言いました(笑)。それくらい、お互い意識し合っていた」と言うと、矢野も「良い距離感でした」とうなずいた。
映画初出演の比留川について松本監督は「最初に本読みをした時は、(キャスティングに)失敗したかなと思いました」と爆弾発言。比留川は「したことがなかったので、どれくらいのテンションで読んでよいのかわからなくて、ほぼ棒読みでした」と苦笑い。松本監督は続けて「現場では、ここをこうしてくださいと言うと、次のテークでは見事にできてる。すごいセンスのある方だなと思いました」と、彼女を称えた。
最後に柳楽が本作をこうアピール。「24歳のガキが言うのもなんですが、生きていくことって楽しいことばかりじゃなく、苦しいこともあるなあと、最近感じています。そのなかでふとした瞬間に良いことが起こると、幸せに感じるんです」と本作に込めた思いを語り「多くの人に見てほしい」と訴えかけた。 【取材・文/山崎伸子】