ブラッド・ピットの魅力をローガン・ラーマンが語る!
『パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々』シリーズ、『三銃士 王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船』(11)、『ノア 約束の舟』(14)など、次から次へと大作に出演し、順風満帆なキャリアを積んできた、若きスター、ローガン・ラーマン。彼の最新出演作は、ブラッド・ピットが製作総指揮と主演を務めた骨太な戦争映画『フューリー』(11月28日公開)だ。来日したローガンにインタビューし、ブラッド・ピットとの交流や撮影秘話について語ってもらった。
『フューリー』の舞台は、第二次世界大戦末期。最後の抵抗を続ける300人ものドイツ軍に、「フューリー(=激しい怒り)」と命名された戦車で立ち向かった米軍兵士5人たち。その壮絶な闘いを重厚なタッチで描く。ブラッドは“ウォーダディー”と呼ばれる指揮官役を、ローガンは新兵・ノーマン役を熱演した。メガホンをとったのは、海軍出身という異色の経歴をもつデヴィッド・エアー監督。アーノルド・シュワルツェネッガー主演作『サボタージュ』(公開中)など、骨太なアクション大作で注目されている。
ローガンは、デヴィッド・エアー監督について「まるで大将、将軍のようだった。撮影隊を、軍隊のように仕切っていた」と興奮気味に話す。「撮影してない時の監督は、ものすごく優しい人なんだけど、撮影中は、めちゃくちゃタフなんだ。脅威を感じていたよ。僕は、自分の主張を言うタイプなんだけど、かなり怖かった(苦笑)。本当にウォーダディーみたいな人だった」。
今回、プロデューサーでもあり、共演者でもあったブラッド・ピットは、ローガンにとって特別な存在だったらしい。というのも、彼が影響を受けた大好きな作品が、ブラッドが出演している『ファイト・クラブ』(99)と『エターナル・サンシャイン』(04)だからだ。ブラッドについて「もっとも触発される俳優のひとりだ」と言う。「彼が出演している作品は、他にもたくさん好きな作品があるし。だから、本作の出演が決まった時は、すごく喜んだよ」
ブラッドについては、惜しみない賛辞を送る。「まず、俳優としてとても賢いアプローチをされる。常に最高の作品を作るために尽力していることが、伝わってくる俳優だと思う。心が広くて、みんなにいろんなものを与えてくれる俳優だ。また、プロデューサーとしても、有能な監督や脚本家たちをサポートしている。しかも、彼は非常に趣味が良いから、僕はとても尊敬している。その才能がうらやましくて仕方ないよ」。
そして『フューリー』については、他の戦争映画とは一線を画する魅力があると語る。「説教をしているわけでもないし、戦争を肯定も否定もしているわけではない。これは、人間についての映画なんだ。戦争が精神的にも肉体的にも、人に対していかにダメージを与えるかを語っている。また、映画を見た観客は、映画に入り込めるし、ノーマンたちの人間性がいかに破壊されて、兵士になっていくのかってことを目撃できる。つまり、戦争を擬似体験することができるんだ」。
実際、ローガンにとっても、本作を経験できたことは、とても糧になったと言う。「この戦争の歴史、当時のことを4か月半くらいかけてリサーチをして、準備をしたんだ。歴史家から話を聞いたり、資料や本を読んだりと、まさに教育を受けたって感じだ。だから、ヨーロッパ戦線については、すごく詳しくなったし、本当に多くを学んだよ。また、今回どこまで自分を酷使できるのかといった自分の限界についても知ることができた。自分自身も、すごく成長できた気がするよ」。
確かに『フューリー』を見る人は、ローガン扮するノーマンたちの目を通して、凄まじい戦場を見せられる。そして、改めて戦争のむごさを実感するのだ。見終わった後、ブラッド・ピットのプロデューサーとしての強い信念を感じると共に、それを真摯に受け止め、全身全霊で演じたローガン・ラーマンたちにただただ感服する。この映画は、いまを生きる我々が、見ておくべき作品だと断言したい。【取材・文/山崎伸子】