ジョージ・クルーニーが『The Interview』公開の嘆願書にサインしなかった業界関係者にゲキ!

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ジョージ・クルーニーが『The Interview』公開の嘆願書にサインしなかった業界関係者にゲキ!

FBIの調査で北朝鮮の関与が明らかになった米ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント(以下SPE)へのハッキング事件で、SPEがハッカー集団“Guardians of Peace 平和の守護者たち”(以下GOP)のテロ予告によって、当初クリスマスに公開予定だった『The Interview(原題)』の劇場公開を中止した。それを受けてジョージ・クルーニーが、業界上層部に公開続行を求める署名依頼をするも、ことごとく断られていたことがわかった。

ジョージがdeadline.comの独占取材に応じたもので、「オバマ大統領に対する人種差別的なジョークが漏れたことで、誰もがエイミー・パスカル(SPE)共同会長のもとから去って行った。もちろん人種差別はジョークであっても許されることではない。でもエイミーの味方をしない理由は、自分たちも同じようにハッキングの対象になって情報をリークされることを恐れているからだ」

「あらゆるスタジオの多くのボスたちに、協力を求める嘆願書を送った。内容は、『現在SPEがハッカー攻撃を受けているが、これは単なるSPEへの攻撃ではなく、スタジオ、ネットワーク、ビジネス、そしてアメリカのあらゆる個人への攻撃にほかならない。SPEが『ハッカーの脅しには屈しない』という判断を下すようにサポートする必要があるのはそのためだ。『彼らに正当な審判が下されるまで、我々は相手の脅しに恐れることなく一緒に立ち上がるときだ』というものだった」

「しかし、誰もサインをしてくれなかった。そして劇場側も『弁護士に相談したところ、劇場で起きた事件の場合訴訟は避けられないと言われたので、公開はできない』と言ってきた。この状態では公開を中止するのは当然だ。エイミーは、何らかの形でこの映画を公開したいと言っていて、僕はネット配信を提案している。この作品は見るに値しないなどと言っている人もいるようだが、もはやそういう話ではない。表現の自由を侵害する行為には断固として立ち向かう義務がある。金正恩に、我々が見る映画を決める権利はない」と語っている。

その後米オバマ大統領は、「公開を取りやめたのは、明らかな間違いだ。判断する前に相談してほしかった。サイバーテロに屈したことになる。北朝鮮に対して、しかるべく措置を取る」と宣言している。しかし、オバマ大統領は16日間のハワイでのバケーションに入っており、具体的な案は示していない。

またショーン・ペンは「SPEの決断は、イスラム国に招待状を送ったようなものだ。パンドラの箱は開けられた」とSPEの判断を非難している。それに対して、SPEのマイケル・リントン最高経営責任者は、『ハッカーに屈したわけではない。劇場もDVD配信会社からも協力を得られない中で公開は不可能だ』と反撃。

一方GOPは公開中止の判断を受け、「公開をやめたことは賢い判断だ。我々は、まだたくさんの情報を持っているが、これ以上何もしなければ、社員の個人情報など大事な情報はリークしない」と脅しをかけるとともに、「劇場公開だけではなく、DVD、ビデオ・オン・デマンド、海賊版などあらゆる手段でもこの映画が世間に流れることは許さない」とさらなる要求を出しており、心理戦ともいえる状況に至っている。

しかし、25日の公開を中止してもなお社内メールがリークし続ける中で、オバマ大統領、ジョージ・クルーニー、『The Interview』のプロデューサー兼主演のセス・ローゲンが所属する全米監督協会の会員らのサポートを受け、SPE側は、「我々のゴールは、いかなる形でも『The Interview』を見たい人たちの期待に応えられるようにすることだ。(デジタルなど)別の形での方法を模索している」との見解を明らかにしている。

同作に対しては、ブラジル人作家が、10万ドルで買い取りを希望しているほか、アマゾン、ネットフリックスなどが拒否する中で、BitTorrentがネット配信に名乗りをあげているが、ジョージ・クルーニーら公開推進派に対するGOPの出方にも注目が集まっている。

公開しなければサイバーテロに屈したことになり、前例を作らないためにも国家の権威にかけて同作を公開させたいオバマ大統領政権とGOPとの闘いとなる一方で、北朝鮮側は事件への関与を否定。「アメリカと共同で捜査に参加したい」として、「我々を信じないで何らかの制裁を加えれば、我々も反撃する」とまで言い出しているという。すでにアメリカは、中国に協力を要請しているとABCニュースなどが伝えているが、今や1つの映画が国家間の対立に発展するまでに至っている。【NY在住/JUNKO】

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