亀梨和也のスパイはすごい!監督と原作者が絶賛
この冬、映画スターとしてのパワーランキングをぐっと上げた亀梨和也。妻夫木聡らと共演した『バンクーバーの朝日』(公開中)に続き、主演として輝きを放つスパイアクション映画『ジョーカー・ゲーム』がいよいよ1月31日(土)より公開される。
原作は、第30回吉川英治文学新人賞ほか数々の賞に輝いた柳広司の同名ミステリー小説。本作のメガホンをとったのは『SR サイタマノラッパー』シリーズの入江悠監督だ。入江監督と柳広司にインタビューし、映画の舞台裏について話を聞いた。
時代は、第二次世界大戦の頃。亀梨和也演じる青年は、上官の命に背いたための極刑を受ける寸前、謎の男・結城(伊勢谷友介)に命を救われる。交換条件は、男が設立した秘密組織「D機関」のスパイとなること。与えられた指令は、アジア某都市で秘密文書を奪取することだった!
インディーズ映画界でその名を知らしめた入江監督だが、『ジョーカー・ゲーム』ほどの大作を手掛けるという重責のミッションを受けたのは初めてのこと。入江監督は「僕に声をかけてくださったプロデューサーと、映画化を許諾いただいた柳さんはかなり奇特というか、相当懐が広い方です。僕、柳さんにお会いする前は、めちゃくちゃ緊張しましたから」と恐縮。一方の柳も「私も映像化企画ははじめてなので、映画監督ってどんな人だろう、怖い人が出てきたらいやだな、と緊張していました」と笑う。
元々スパイ映画が大好きな入江監督は、柳の原作小説について「すごくキャラクターが魅力的で、僕がいままで見てきたスパイ映画にはなかったものでした。これなら、新しいスパイ映画ができるんじゃないかと思いました」と興奮気味に言う。
柳は「脚本を読んだ時は、正直なところ、どうやってリアリティをもたせるんだろう?という箇所もあったのですが、映像を見て、なるほどと思い、逆に勉強になりました。お見事でした」と絶賛。
亀梨演じる主人公は、スパイとして“嘉藤”という偽名を与えられる。柳は「目立ってはいけないスパイが主人公ですから、映画にするのは難しいだろうなと思っていました」と語る。入江監督は「スパイって、本名も隠されますからね。ただ、映画を見終わった後、主人公の印象が薄いまま終わってしまうと、お客さんとしては満足できない。そういう意味で、亀梨くんは素晴らしい仕事をしてくれた思います」と亀梨に賛辞を贈った。
柳は「小説と映像での、リアリティの違いを感じました。女性の口説き方や、いろんなミッションのこなし方についてもそう。今回の亀梨さんは、アイドル活動もされているってことで、華やかな面を優先するという感じもありましたが、映画としてはやっぱりこれなんだなと」と納得。
入江監督は亀梨について「理解力がすごく早い」と感心する。「いま何を必要とされているのかってことが、アクションだけではなく、芝居でも判断が早いんです。本作では基本的に明るいキャラクターではないのですが、シリアスさと華やかさとのさじ加減がすごくうまかったです」。
伊勢谷友介演じる結城のキャラクターについても柳は「結城は小説の中では、実はそんなに細かく描写していない。影のような存在です。それを生身の俳優として実体化するのは大変な作業だっと思います」と感嘆。
入江監督は「今回いちばん難しかったところです」と告白。「小説ファンの方はみんなが好きなキャラクターだと思うんですが、実態がわからない。顔も見えないし、名前も嘘であるってことなので。伊勢谷さんはすごくグローバルな視点の持ち主で、英語も堪能なので、今回はかなりそこに助けられた部分が大きかったです」。
映画の見どころについて、入江監督は「先生の小説の、改行の感覚というか、次々とページをめくりたくなるスピード感を、何とか映像にできないかと思ってやりました。そこを楽しんでほしいです」と訴える。柳も「冒頭からラストまで楽しんでいただける映画なので、一瞬も目を離さずに見ていただきたい」としっかりアピール。二人の表情を見て、良いコラボレーションが叶ったという手応えが見てとれた。【取材・文/山崎伸子】