亀梨和也主演『ジョーカー・ゲーム』こだわりの舞台裏
日本映画界になんとも魅惑的なスパイが参上。演じるのは亀梨和也。タイトルは『ジョーカー・ゲーム』で、第30回吉川英治文学新人賞ほか数々の賞を受賞した柳広司の同名ミステリー小説の映画化作品だ。メガホンをとった入江悠監督と、原作者の柳広司にインタビュー。2人が映画の舞台裏とその魅力を語ってくれた。
第二次世界大戦の時代、亀梨和也演じる青年は、謎の男・結城(伊勢谷友介)に命を救われ、ある組織「D機関」のスパイとして、秘密文書を奪取するというミッションに挑む。映画化したのは、『SR サイタマノラッパー』シリーズの入江悠監督だ。
入江監督は小説についてこう感想を述べた。「ワクワク感とスピード感があり、読むと手が止まらない。やられた、と思ったらまだ終りじゃない。さらにその裏がある。小説と映像は、表現の媒体として違うんですが、そういうものが出せないかなと思いました」。
柳は、「映画と小説は別のもの」と語ったうえで、映画ならではの面白さを強調する。「アクションシーンは、ほとんど原作に出てこないんです。映像ではこうやって進めていくんだなと、テクニカルな部分で楽しませていただきました。亀梨さんのアクションはすごくスピード感がありながら、ところどころコミカルな動きを入れたりして、観客をずっと飽きさせない。存分に魅せてくれます」 。
映画では亀梨のキレのあるアクションのほか、拷問シーンで見せる上半身裸のサービスショット、深田恭子演じるヒロインとのラブシーンなども見せ場となっている。亀梨和也ファンとしては垂涎のシーンだと指摘すると、入江監督は「そうですよね」とうなずく。「柳さんにお会いした時『小説と映画では見せ方が違うので、お任せします』と言っていただき、背中を押していただきました。だから、自分なりの解釈をさせてもらって良いのかと思って、そういうところも取り入れました」。
亀梨のアクションについて、柳は「静と動のメリハリというか、普段の亀梨さんの所作と、アクションシーンのスピード感の違いを見せてくれたのは、裏側にいる者としてうれしかったです」とご満悦だ。
柳は入江監督を「すごくこだわりの人」と称える。例えば、今回、多国籍の外国人キャストをさばいた入江監督は、彼らをほめるために、いろんなボキャブラリーの言葉を用意して現場に臨んだそうだ。「ずっと『GOOD』だけだとダメでしょ?イギリス人がけっこう出てきますが、イギリス英語でも田舎の英語と都会の英語は違うので、そこも実際にイギリスにいらした方に話を聞いたりしました。『ジョーカー・ゲーム』みたいに、事実に基づいて構築されるフィクションは、そういう積み上げがないと絵空事になっちゃう。映画は爆破とか派手なことをやって、ファンタジー度が高いんですが、ディテールは大事ですから」。
D機関の男たちの集合シーンの演出も細やかだ。入江監督は「今回の主演は亀梨くんですが、小説でいえばD機関の奥にいるメンバー1人1人をフォーカスしても物語が面白いはずなんです。だから、それぞれに何が得意でここに呼ばれたのかという課題を出しました。ずっと本を読んでいるやつがいたり、ビリヤードをやっているやつがいたりと、実際にキャラクターづけをしていきました」。
柳も「映像ならではの楽しいシーンです。そういう細かな点が、全体としての、こだわっているな、という印象につながるんですね」とうなる。
映画について柳は「ワクワクドキドキ感を是非、楽しんでほしいです」とプッシュ。入江監督も「映画は小説と違って巻き戻せないんですが、次々と繰り出される展開に、身をゆだねていただけたらうれしいです」と力強く語ってくれた。
亀梨和也を迎え、入江監督が満を持して放つスパイアクション映画『ジョーカー・ゲーム』。あなたも予測不能のスパイゲームの謎解きに是非トライしてみて!【取材・文/山崎伸子】