蒼井優、涙こらえ『花とアリス』亡き撮監へメッセージ
『花とアリス』(04)の前日譚を描くアニメーション映画『花とアリス殺人事件』(2月20日公開)の完成披露上映会が2月12日に新宿バルト9で開催され、蒼井優、鈴木杏、岩井俊二監督が登壇。本作に込められた、2004年に亡くなった撮影監督・篠田昇への思いを明かした。
岩井監督初の長編アニメーション映画となる本作。前作で花とアリス役を演じた蒼井と鈴木が、声優として同役に息を吹き込んだ。岩井監督は、「ホンを書いてから10年が経ってしまった。ようやく完成してこうして見ていただける。感無量です」と喜びのコメント。
完成までに大きな力となったのが、前作の撮影監督・篠田昇の存在だった。岩井監督は「篠田昇という撮影監督がいて。『花とアリス殺人事件』のホンができたその日の朝に亡くなったという連絡が来て。お葬式で二人に会ったらワンワン泣いていて」と蒼井と鈴木に目を向け、「書き上げたこのホンを一緒に棺に入れてもらった。作らねばとずっと思っていた」と本作への強い思いを明かした。
蒼井は「本当ならば篠田昇さんに見ていただきたかった。それはなかなか叶わないので」と声を震わせ、「きっと空の上から見てくれていると思います。この作品を見終わった後の皆さんの笑顔が、篠田さんに届くといいなと思います」と涙をこらえながら会場に訴えていた。
ありのままの14歳の少女、花とアリスの恋と冒険と友情を描く本作。鈴木は「ずっと優ちゃんとも一緒にいるし、あそこから出発したことがたくさんある」と前作での共演以来、蒼井と鈴木は実生活でも親友になったそう。蒼井は「家族みたいな感覚なので杏が化粧をしているのを見ると、変な感じ」と吹き出すと、鈴木が「いつも私が化粧をしているのを見ると笑うんですよ。何、化粧しているのって」と大きな笑顔。
続けて「二人で会うときはお互いすっぴんだからね」と二人で声をそろえ、鈴木は「きれいにしているのとか見ると、『嘘つけ』って思う」と正直に話すなど、親友ならではのトークを展開。蒼井は「この作品で出会っていなかったら、こういう形での関係が続いていなかったかもしれない」と『花とアリス』での出会いをしみじみと振り返っていた。【取材・文/成田おり枝】