“ホテル映画”は名作揃い!『王妃の館』の魅力とは?
パリの高級ホテルを舞台に、2組のツアー客たちの騒動を描いた『王妃の館』(4月25日公開)。パリの美しい街並み、伝統的な建造物などにももちろん目を奪われるが、そんななかでも“ホテル映画”という点に注目して本作の魅力に迫ってみたい。
いわゆる“シチュエーション・コメディ”といわれるカテゴリの中でも、ホテルを舞台にした映画には名作、ヒット作が多く、この『王妃の館』もまたしかり。代表的な“ホテル映画”をいくつか振り返ってみよう。
まず“ホテル映画”としてパッと思いつくのが、三谷幸喜監督作の『THE 有頂天ホテル』(06)。ホテルの宿泊客と、その裏で奮闘する従業員たちの人情を描いたコメディだ。役所広司、松たか子、佐藤浩市ら豪華キャストが出演し、彼らがコミカルな演技を披露していることでも大きな話題になった。
『王妃の館』に至っても、水谷豊や田中麗奈らが個性的な人物に扮し、インパクトのある演技を見せている。一筋縄ではいかないキャラには、物語の波乱を予感させ、自然と心が躍る。彼らのハチャメチャな行動には必ずクスリとさせられるはずだ。
また、第87回アカデミー賞で4部門を獲得したウェス・アンダーソンの『グランド・ブダペスト・ホテル』(13)も、代表的な“ホテル映画”。伝説のコンシェルジュが殺人事件に巻き込まれ、奇想天外な逃亡劇を繰り広げていく。ホテルの美しい内装や、コンシェルジュと従業員とのテンポの良い掛け合いなど、多くの人を魅了した。
『王妃の館』でも水谷扮する小説家の北白川右京を中心に、ツアーメンバーとのウィットに富んだ会話が展開。それぞれがアクの強い人物とあって、彼らの口から出る言葉はユーモアたっぷり。また、日本人観光客が憧れるマレ地区の高級ホテル“ル・パヴィヨン・ドゥ・ラ・レーヌ”の外観を撮影し再現した、劇中のホテル“シャトー・ドゥ・ラ・レーヌ”のディテールも素晴らしい。目で見て楽しい作品にもなっている。
このほかにも、“グランド・ホテル形式”という言葉を生んだ『グランド・ホテル』(33)や『フォー・ルームス』(95)、『はじまりは5つ星ホテルから』(13)など、ホテルを舞台にした映画は数多い。賑やかなキャラクターや予測不能な物語など、色々な要素が堪能でき、作品への満足度は高いはず。旧作をさらいながら、『王妃の館』でもその醍醐味を味わっておこう。【トライワークス】
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