映像もストーリーも絶賛!斎藤工「教科書的な作品」
小さなシマリスとスコーピオンマウスがたくましく生きる姿を、動物の視点からドラマチックにとらえた異色のネイチャー・ドキュメンタリー『小さな世界はワンダーランド』(5月9日公開)。本作の日本語ナレーションを担当した斎藤工に作品の魅力、見どころを語ってもらった。
まず、作品の全体的な仕上がりについて、斎藤は「ドキュメンタリーなのかフィクションなのか、境目がわかりませんでした。劇映画という感じで、最初は驚きましたね」と語る。
特殊な撮影方法についても「小さな生物が大きい動物に狙われて逃げるとき、その逃げ込んだ先にもカメラがある。ドキュメントでは追いきれないような絵が見事につながっている。普段役者をやらせていただいている目線で考えると、フィクションの世界が太刀打ちできないレベルだなと思いましたね」と、物語を表現する身として強い感心を寄せている。
普段からBBCアースのドキュメンタリー作品に意識的に触れているという斎藤。演じる者として“ドキュメント”そのものをライバル視しているというが、BBCアースの作品の魅力を「人間以外の生物を観察しているだけじゃなくて、そこに感情移入できる」と分析。
「明確な主人公として成立させるような捉え方は、おそらくそれだけの準備と技術、センス、能力が必要だと思います。映像に驚かされながら観ています」と、BBCアース作品への惚れ込みようも並々ならない。
また、俳優として活躍するだけでなく短編映画の監督も務める斎藤は、映像についても絶賛。「僕らのサイズを基準に考えると、とてもミクロな世界の出来事です。しかし、小さな生物を軸にすることによって、彼らにとっては『ジュラシック・パーク』(93)のような世界になるわけです。例えば、ヘラジカなどの巨大生物が出て来たときのアングルやサイズ感で怪獣映画のような体感ができるのは、ただのドキュメントでは作れない、と感じましたね」と、圧巻の映像に驚きを隠せない。
さらに本作は、子どもから大人まで楽しめる「教科書的な作品」だという。「僕は結婚していませんし、子どももいませんが、自分の子どもが上京して一人暮らしするのを見守る感じに近いんじゃないかと思います」と、親心も覗かせる。
さらに「自然の中では、捕縛される危険が常に付きまとっています。それを自分に置き換えてみるとどうなんだろうって、疑似体験ができると思う」と、自分の物語として追えることもアピールした。
斎藤が語るように、本作は物語のメッセージ性も高く、ドキュメンタリー好きや動物好きなど、幅広い層が堪能できる一作に。劇場でその驚きの全貌をしっかり味わっておきたい!【トライワークス】