エレキテル、「ダメよ~」が子どもにウケた理由とは?

インタビュー

エレキテル、「ダメよ~」が子どもにウケた理由とは?

人気アニメの劇場版第23作目『映画クレヨンしんちゃん オラの引越し物語~サボテン大襲撃~』(4月18日公開)。ゲスト声優には、昨年「ダメよ〜ダメダメ」の名セリフで日本中を笑いに包み込み、流行語大賞も受賞したお笑いコンビ・日本エレキテル連合(橋本小雪・中野聡子)が抜擢された。

劇中では、衝撃度満点のブレイクネタのキャラクター、細貝さんと朱美ちゃんがそのままアニメになって登場。キャラクター同様、ショッキングな展開で楽しませてくれる。そこで二人を直撃し、「ダメよ〜ダメダメ」が子どもにも受け入れられた理由。今、イチオシのネタまでを聞いた。

「初めて買ったコミックが『クレヨンしんちゃん』だった」というのが、中年のオジさん・細貝さんに扮した中野。「お父さんが買い与えてくれてね。衝撃的な面白さだった!子どもはね、どうしてもいけないものが大好きだから。それをしんちゃんが代弁してやってくれている。子どもからしたら、その爽快感ったらなかったですよ」。

白塗りの朱美ちゃんに扮した橋本も「むちゃくちゃうれしくて。甥っ子姪っ子にも話したら、大喜び。一気にスターになりました」と今回の抜擢に大喜び。アニメとなった朱美ちゃんについては「自分たちがしんちゃんの世界にいるんですもの。それに、足を細く描いてもらってとってもうれしい」とその出来栄えに感激しきりだった。

中野も「キャラクターが一人歩きしてね、アニメの世界に飛び込んでくれる。これこそまさに我々の思う壺!こういうことがしたくね、日々キャラクターを生み出していますから。こんなにうれしいことはない」と声高に叫ぶ。

本作は、春日部からメキシコに引越した野原一家が、新たな仲間と共に動くサボテン相手に大奮闘する物語。中野は「衝撃的なところもあって。そこにはクスッとできるブラックな笑いがあったりもする」と映画の印象を吐露するが、その世界観は、彼女たちのコントのコンセプトにも相通じるものがあるという。

「私たちのコントのコンセプトに、“トラウマ”というのがありまして。というのも、小さいときに見て怖かったり、気持ち悪かったりしたものって、大人になってもう一回見直そうと思ったりする。私たちは今、それを狙って小さい子どもたちにトラウマを与えてまわっているんです。今回の映画で私たちが出ているシーンも、子どもたちは衝撃を受けると思う!多少の刺激は大事です!」。

“トラウマ”をテーマにネタを生み出しているという彼女たち。「おしゃべりワイフシリーズ 未亡人朱美(あけみ)ちゃん 3号」もまさにそんなネタだが、中野は「明日舞台でやらなきゃいけないのに、ネタがない。そんなときに適当にやったネタ」と誕生秘話を告白。

橋本も「『ダメよ〜ダメダメ』っていうセリフは練習しましたが、ネタ見せをするときまで、こんなメイクをするとも聞いてませんでしたから。びっくりしましたよ!」とそれだけ急作りのネタだったそう。「商売になるなんて思ってなかった。ましてや子どもなんて視野に入れてませんから」(中野)、「怒られると思ったくらい!」(橋本)と当人たちが最も、大ブレイクに驚いている様子だ。

「ブレイクについてあまり分析はしていない」というが、子どもにも受け入れられた理由を中野は「やっぱり子どもは大人がダメというものが好きなんじゃないかと」とうなずき、橋本も「ちょっと怖いなと思ったり、見ちゃいけないのかなと思ったりするものが、『なんだろう』って見たくなるのかも」と同調。

昨年は流行語大賞も受賞したが、橋本は「周りの人も、『子どもに言われるようになれば流行る』とよく言ってくださるんですが、そこに合わせず、自分たちが面白いと思うことを変わらずにやっていけたらと思います。受け入れられないだろうなと思うことも、気にせずやっていきたい」。

中野も今回のブレイクを「完全にプレゼント。運が良かった」と冷静に見つめ、「自分たちが面白いと思うものをやらないと意味がない!」と、これからも自分たちの笑いを信じて突き進む意気込みだ。

最後に今イチオシのネタを聞いてみた。「公開人捜し番組のネタですね。ロシアからマクモニーグルさんとかに頼んでね、女の子を捜すんです。ここにいるよって言われたらね…」と中野がサービスたっぷりにネタを披露し始めると、橋本が「全部言っちゃうんかーい!」とツッコミ。

抜群の演技力、独特の視点・発想力に定評のある彼女たち。これからもトラウマを与えるようなネタを連発してくれそうで大いに楽しみだ。【取材・文/成田おり枝】

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