吹石一恵、水谷豊を好きにならざるを得ない理由とは?
人気作家・浅田次郎の同名小説を水谷豊主演で映画化した『王妃の館』が4月25日(土)より公開となる。「相棒」シリーズの杉下右京役でおなじみの水谷が、“新たな右京”を演じると話題の本作。吹石一恵を直撃し、水谷との共演の感想を聞いた。
舞台は花の都パリ。個性派ぞろいのメンバーが集った旅行ツアーで、ウィットに富んだ豊かな人間模様が交錯するヒューマンコメディだ。水谷が演じるのは、不思議な天才作家・北白川右京役。おかっぱ頭にカラフルな衣装といった驚きのコスチュームで、ユーモアたっぷりに“新たな右京”を演じている。
吹石が扮するのは、「北白川の大ファン」だというワケありのOL・桜井香役。吹石も「あの髪型とコスチューム!びっくりしました」と目を丸くする。
なんでも、打ち合わせ時に書いた水谷のラフなイラストが、今回の右京の原型になっているそうで、「ご自身でアイディアを出されているそうで。『(アイディアが)降りてきたんだよ』とおっしゃっていました」と水谷の発想力に関心しきりだ。
さらに「シーンごとに、お洋服や靴、タイツやメガネも変わっていて。パリでの撮影は、集合場所に集まるとまずは、上から下、前から後ろまで、右京さんの全身をみんなで眺めるところからはじまったんです。右京さんウォッチングが楽しかったですね」と述懐。
「でもたぶん、水谷さんもそうだし、みなさんが今回は新境地を開いていると思います。新鮮でした」というように、それぞれがこれまでに見たことのないような役柄へ挑戦している。
水谷が右京役を演じることついては、「右京さんがすでにひとりいるのに、もう一人の右京さんを演じてしまわれる。その勇気はすごい」とうなずく。「私だったらと思うと、その名前のキャラクターは、すでに自分の中に一人いるから、新しくもう一人作り上げていくのは難しいと思うのですが、そんなものを軽やかに飛び越えて、新しい右京さんになりきってみせられる水谷さんは、かっこいいなと思います。とてもしなやかで、本当にかっこいい」。
20日以上、パリに滞在しての一大ロケを敢行した。その撮影中には、座長・水谷の人間力を感じる瞬間も多かったという。「現場でご飯を食べているときも、キャストだけでなくスタッフ全員に、『大丈夫?』とか『ハッピー?』とお声をかけてらっしゃって。朝の挨拶から終わりの挨拶まで、ずっとです。座長ってこういうことなんだなと思いました」。
現地ではフランス人スタッフも多く参加したが、「フランスのスタッフからも大人気でした。みんなに握手をして、キャストやスタッフ、この人はどこの国の人かなど、そういったことも関係なく、誰とでも、いち人間同士としてお付き合いをされる。水谷さんは、ご一緒したら好きにならざるを得ない方。『この人のためなら』と思うし、好きにならない方がおかしい!」と彼女自身、水谷にメロメロの様子。
「相棒」シリーズも手がけた橋本一監督がメガホンをとる。「橋本監督をはじめ、『相棒』チームのみなさんは、『次はどういうカットを撮りたい』ということも、多くを語らずともあうんの呼吸で黙々と撮影を進められていて。みなさんの絆やチームワークの強さをものすごく感じた現場でした」。
心地よい空気感と絆の中、パリをめぐる撮影をできたことに、「一生に一度ないかもしれないという経験をさせてもらいました」とうれしそうに微笑む。「ヴェルサイユ宮殿では日本映画で初めてという貸し切っての撮影をさせていただいて。なんて贅沢な経験をさせてもらったんだろう!セーヌ川のクルーズもとても楽しくて、パリに行った際にはぜひオススメですよ」。【取材・文/成田おり枝】