染谷将太&橋本愛、『寄生獣 完結編』で見せる愛の形|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
染谷将太&橋本愛、『寄生獣 完結編』で見せる愛の形

インタビュー

染谷将太&橋本愛、『寄生獣 完結編』で見せる愛の形

壮絶なアクションの中に、「人類、そして愛とは」という哲学的な要素を盛り込み、世界中に熱狂的なファンを生み続けているコミック『寄生獣』。二部作として実写映画化した『寄生獣 完結編』がいよいよ4月25日(土)より公開となる。

寄生獣との戦いを描き切る圧巻のCG描写ももちろん見逃せないが、前編以上にドラマ性をもった『完結編』は、主人公・新一(染谷将太)と、彼を思い続ける里美(橋本愛)との深遠な愛の物語でもある。染谷と橋本を直撃し、本作の描く愛について思いを聞いた。

右手に寄生生物ミギーを宿した新一。『完結編』では、寄生生物への憎悪を募らせた新一が、孤独な戦いへと身を投じる姿が描かれる。新一と里美の関係性の変化をどのように感じただろうか?

染谷は、「新一がどんどん変わっていってしまって、よくない方向に突っ走り出してしまうんです」と新一が深い闇へと飲み込まれていく過程を述懐。「そんな新一を見て、里美の愛はどんどん強くなっていったんだと思います。新一は目の前に見えている里美の愛情に気付きながらも、それを見ないふりをして葛藤している。その絶妙な関係性は、とても面白いと思いました」。

一方の橋本は「新一くんを信じること。そして新一くんを人間に引き戻したいという気持ちは、最後まで手放さないでいようと思っていました」と強い眼差しを見せる。

「どんどん新一くんが日常生活から離れていってしまって、どんな環境に巻き込まれているのかも、里美には感覚的にしかわからない。でも里美はずっと新一くんを支えたい、救いたいと思っていて。里美は人間らしい感情を持ち続ける、愛情の象徴のような存在だと思って。強いエネルギーやパワーを忘れずに演じていました」。

染谷は、里美の放つ「新一くんは、新一くんだよ」というセリフにグッと心を動かされたそう。「新一は、ミギーに対して『ミギーはいつまでたってもミギーだな』というセリフがあるんですが、里美の『新一くんは新一くんだよ』というセリフはすべてを言い尽くしているような気がして、グッときました。『君はもともとすごい素敵な人間なんだから、大丈夫だよ』と言われているような気がしたんです」。

新一と里美が結ばれるシーンは、本作を描く上で欠かせない大事なシーンだ。里美は、死の恐怖に怯える新一を受け止め、二人は結ばれる。

染谷は「山崎監督は、あそこで『生きる』ということを表現したいとおっしゃっていて。お互いがある種、動物的に愛し合っているシーンだとおっしゃっていたので、そのことを意識して演じました」と告白。「新一としては、この愛の中に飛び込んで、『もう出たくありません』という気持ちだったんじゃないですかね」。

橋本は「あのシーンの前に、新一くんはほぼすべてを失いかけてしまい、孤独や絶望の淵に立たされてしまった。そんなときに里美が、彼にもう一度、生命力を吹き込める存在でいられればいいと思いました」と話すように、里美は、母性すら感じる佇まいで新一を受け止めるのだ。

「物語の過程として、なんら変わりなく演じました」と女優魂を見せる橋本。「『寄生獣』全体を通して、制限がある中での極限まで、きちんと手を染めるというのが、今回の山崎組の方針だったと思います」と、本作のテーマをかみしめて演じた。

5か月にわたる撮影期間、新一と里美を演じきった。真っ直ぐな女性を体現した橋本は「里美はとても純な役柄だった」と振り返り、「とても純な表情を切り取っていただき、それを見ることができた。こんな純な自分を見るのは初めてで。うれしいし、面白かったです」と微笑む。

染谷は「橋本さんはとても真っ直ぐに向かってきてくださって、自分は立っているだけで大丈夫だと思ったんです(笑)」と橋本の演技を絶賛。さらに「でもたぶん、お互いに立っていれば大丈夫なような現場だったんです」と話す。「もちろん撮影は大変でしたし、本当にみんなで頑張ったんですけれど、現場では『頑張ろう』という意識はいらなかったような印象をずっと受けていました」。

それは本作に携わる誰もが「同じ方向を向いている」という実感からきたものだという。「それは、『寄生獣』という作品の持っている力。スタッフ、キャストも『寄生獣』が好きで、『参加できてよかった』と皆さんが言っていて。原作が愛され続けているように、この映画もそうなることを望みますし、そうなるだろうと思っています」。【取材・文/成田おり枝】

染谷将太
ヘアメイク AMANO
スタイリスト 清水奈緒美

橋本愛
メイク ナライユミ
スタイリスト 岩渕真希
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