斎藤工、自身の“艶っぽさ”について分析|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
斎藤工、自身の“艶っぽさ”について分析

インタビュー

斎藤工、自身の“艶っぽさ”について分析

艶っぽさ、色気のある男として大ブレイク中の俳優・斎藤工。彼が「今後、僕の名刺になる作品」と熱っぽく語るのが、6月20日(土)より公開となる映画『虎影』だ。そこには、メガホンをとった西村喜廣監督への並々ならぬ信頼感があった。

園子温監督や井口昇監督など、たくさんの個性派監督のもと特殊造型として参加してきた西村監督。実写版『進撃の巨人』では特殊造型プロデューサーを務めるなど、特殊造型では「日本の第一人者」と言われている人だ。

斎藤と西村監督との付き合いは、10年に渡るという。今でこそ大人気の斎藤だが、2001年のデビュー後、長い下積み時代を経験している。「10年前の僕は、無力でしかなかった。ニーズのない俳優っていうのは、存在しているのかしていないのかわからなくなるくらい不安なもので。西村監督は、そういう僕らの弱い部分や心理を理解して、汲み取ってくれる人」と、苦しい時期の自分を見続けてきてくれたのが西村監督なのだとか。

「西村監督からの打診を断るという選択肢は、僕にはなかった」と断言する。「今回たまたま、僕が主演を務めさせていただいていますが、西村監督の『ヘルドライバー』(11)にも5分しか出演時間がないけれど、出させてもらっています」と、西村組ならばいつでも飛び込みたい所存だ。

「西村監督にとっては、主役や端役という線引きがない。それは10年前から感じています。監督は『工と同じように、俺にはみんな大事なんだ』とおっしゃって下さっていて。そのスタンスが変わらないところが、すごく信頼できます」。映画に携わる一人一人に愛情を注ぐ。そんな西村監督の人柄に惚れているのだ。

愛する家族を守るために再び刀を抜くことを決意した、忍者・虎影の命がけのバトルを描く本作。西村監督のオリジナル脚本だが、人間味あふれる虎影という役については「西村監督、そのものだなと思いました」とニッコリ。「彼もお父さんであって、子どもを育てながら仕事をしている。虎影には、土の匂いがする印象を受けました。それはどこか西村監督自身であって、また、西村監督が僕の中に見出してくれている土っぽさなのかなと。脚本を読んだときに、パブリックイメージとは反した、僕の本質を捉えてくれているなと思いました」

2014年に出演したドラマ『昼顔』以降、セクシー代表として知名度を上げた斎藤。「『昼顔』に出てからは、自分の説明書きに“艶”といったものが加わったのは、自分でも当然、認識はしていて。それも、僕としては楽しんでいるです」とブレイクも楽しむ姿勢を見せ、「これは一時的なことなので、終焉は来ると明確にわかっていて。ひとつの芸がたまたま浸透してしまった、いわば一発ギャグみたいなものだと思っています」と冷静に分析。

確かに対峙してみる斎藤は、気さくで、人を笑わせるのが好きな、とことん熱っぽい男だ。その彼の本質を捉えた『虎影』は、彼に“艶”のイメージを感じている人たちにとっては、ギャップと新鮮な驚きがあるだろう。「『虎影』を撮影していた頃は、まだ『昼顔』にも出会っていなかった。もちろん西村監督にも、僕にもそういった作為はないですが、面白い流れにはなっていますよね。僕の賞味期限がまだもっているかもわからないですが、その流れで劇場に行っていただいて、何かを感じてくれる人がいたらうれしいです」

正直に思いを打ち明けるが、「見て欲しいのは映画。俳優は、見てもらうきっかけになることが責務」と熱がこもる。本作では西村監督を中心に、スタッフ・キャストがこぞって観客への“届け方”を考えているそう。「初日舞台挨拶だけではなく、可能ならば毎日劇場に行きたいくらい。こういう時代だからこそ、役者が自分の肉体を使って、届ける役目をするべきだと思うんです。監督も監督兼、宣伝。僕も俳優兼、宣伝みたいな感じで。画期的だけれど、やるべきことを西村監督を軸に今、やっているような気がしています。今までにないくらい、みんなで映画をつくって、みんなで映画を人に届ける作業をしている最中です」

いち俳優としてだけでなく、斎藤は映画業界全体を見つめている。「上映が終わってからも、『虎影』という作品と付き合い続けていきたい。今後、僕らがどのように作品と関わっていくのかにも、ぜひ注目してほしいです。映画の新しいあり方、役者の関わり方を僕自身、今、模索しています。今までにない動きをしていくんじゃないかな」。斎藤工が映画界から愛されるのは、彼自身が映画と映画人を強く愛しているからだ。ぜひ『虎影』で、その愛を感じてほしい。【取材・文/成田おり枝】

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