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若尾文子、「小津安二郎は理想の人」と告白

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若尾文子、「小津安二郎は理想の人」と告白

昭和を代表する映画女優・若尾文子の秘蔵作品から代表作まで、選りすぐりの60本を上映した「若尾文子映画祭 青春」。この映画祭の初日舞台挨拶が6月27日(土)に角川シネマ新宿で開催され、若尾本人が気品あふれる着物姿に身を包み登壇した。

若尾が銀幕デビューを果たした10代後半から30代半ばまでの作品を上映した本映画祭。ポスターにも選ばれた『青空娘』(57)をはじめ、若尾のデビュー作『死の街を脱れて』(52)や『浮草』(59)、『赤線地帯』(56)などといった名作が並んでいる。

18歳でスクリーンデビューを飾った若尾。司会者から「若尾さんの青春とは?」と質問を受けて、「私の青春は、映画と撮影所ですかね(笑)」と語り、「私の青春はただひたすら映画と共にありましたね」と笑顔を浮かべながら、10代の若かりし頃を振り返った。

また、若尾との名コンビとして知られる名匠・増村保造監督については、「演技に対して、とくに細かい注文はされませんでした」と語り、「ただ自分の考えを役者にキチッと伝えようとする厳しい面も持ち合わせている方でしたね」と明かした。

一方で、同じく戦後の日本映画界を先導した名匠であり、『浮草』でタッグを組んだ小津安二郎監督については、「私、小津先生のことが大好きでね」と声を弾ませ、小津監督に対して特別な思いを抱いていたことを告白。「いつも真っ白い帽子と、真っ白いシャツと、真っ白い靴で、でもそれが全然いやらしくなくてね」と語り、「本当に大好きでね、こういう人のお嫁さんになりたいと思ったの」と照れ笑いを浮かべ、会場を和やかなムードに包んだ。

これまで、名だたる巨匠たちのもとで経験を重ね、女優業を邁進してきた若尾。本日、映画祭初日を迎え、「昔にくらべると、映画が観られない時代になったけど、こんなにたくさんのお客さんが観にきてくれるなんて、とても嬉しいことですね」と喜びを語った。

そして最後に、目の前にいる多くのファンの方に向け「本当にありがとうございました」と深くお辞儀をして、舞台挨拶は幕を閉じた。【取材・文/トライワークス】

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