C・ファースが明かす、『キングスマン』起用の理由とは?
『キック・アス』(10)のマシュー・ボーン監督がコリン・ファースを主演に迎えたスパイ・アクション『キングスマン』が、いよいよ本日から公開!『ブリジット・ジョーンズの日記』シリーズのようなラブ・コメディや『英国王のスピーチ』(10)などの人間ドラマの印象が強かった“演技派”のファースが、なぜいまアクションに挑戦したのか?その胸中を語った。
ロンドンの高級スーツ店を隠れ蓑にした秘密のスパイ組織と、人類抹殺計画を進める狂ったIT富豪の激しいバトルが展開する本作。ファースは“百戦錬磨の敏腕スパイ”ハリー役を演じており、これまでのイメージを覆す華麗なアクションを披露している。
ファースのキャリアを逆手に取ったこのキャスティングこそが本作のカギになっていたようだ。「監督のマシューが僕に話をもちかけた理由の1つは、世間の人が抱いている僕のイメージから、まさか僕があんなことをするなんて夢にも思わないと感じるだろうからだと言っていたね」。
監督からかなり早いタイミングで彼にオファーがあり、「この役には肉体的にタフな面がたくさんあることを最初に忠告されたんだ。『いや、僕には無理だ』と言う機会を与えるためにね」と、プレッシャーをかけられたと明かす。しかし「ラブ・コメディをやるとみんなに思い込まれている僕が、一転して人を殴り倒しまくる。マシューはそんなふうに人々の既成概念を裏切るのが好きなんだよ。僕はそんな彼の仕事の仕方が好きなんだ」と、監督のセンスを信頼し、オファーを快諾したようだ。
マシュー・ボーンといえば、痛快で毒っけのあるバイオレンス描写がトレードマーク。本作でも容赦ないアクションシーンをさく裂させているが、ファースは「この映画にはとんでもないレベルのバイオレンスがあるけど、他の映画の暴力シーンが持つようなグロテスクで、へたするとエロティックとも言えるような残虐性はない」と分析する。
「例えば教会の一大格闘シーンは若干血は見えるけどみんなが血まみれというわけではなかったし、クライマックスで人々の頭が炸裂するシーンも、まるでディズニー映画のようで、おどろおどろしいところがない。だからといって暴力は許されていいのか、という意見があるのもわかるし、またその点は討論されるべき点でもあると思うけど、それが彼の繊細な感受性でもある。生々しい現実と漫画チックな世界の中間にいるような彼のスタンスは興味深いよ」。
(【後編】へ続く)
【Movie Walker】