原田眞人と樹木希林、東京国際映画祭について辛口発言!
10月22日(木)より開幕する第28回東京国際映画祭。新設された「Japan Now」部門で、今年『駆込み女と駆出し男』『日本のいちばん長い日』の2本の監督作が公開され、国内外からの評価も高い原田眞人監督の特集上映が開催する事が決定した。10月9日に「Japan Now」部門や「Japan Now監督特集<原田眞人の世界>」に関する記者会見が都内で行われた。
登壇したのは、原田監督や、『わが母の記』(12)などに出演し原田監督作品に縁の深い樹木希林、安藤紘平(「Japan Now」部門プログラミング・アドバイザー)、椎名保(東京国際映画祭 ディレクター・ジェネラル)だ。
椎名は「今年でヘッドをやるのは3年目ですが、どのように日本映画を海外へ情報発信していけば良いかと考えてきて、たどり着いたのが、Japan Now とジャパンクラシックです。いま、年に500本以上の映画が公開されていますが、東京国際映画祭で上映される映画を観れば、すべてがわかる。また、作品と共に監督も海外にアピールしたいということで、生まれてきたのがJapan Nowです」とアピールした。
原田監督は「Japan Now最初の監督に選ばれ、5本の作品を上映していただけるのはとても名誉なこと。昔、『ペインテッド・デザート』(94)がコンペに出て以来、22~23年ぶりに自分の国の映画祭に参加できることに、とても興奮してます」と笑顔を見せた。また、上映される『わが母の記』などの5本は「いずれもカンヌ国際映画祭ではNGをくらったものですが」と笑いを取った。
原田監督は、東京国際映画祭について「日本人の特性ですが、フェスティバルのディレクターの顔となっている人がいない。映画の個性がなくなっているんじゃないかと言う気がします」と、カンヌやベネチアなどの映画祭との違いについての問題も定義した。すると、プログラミング・アドバイザーの安藤が「今回はカンヌに勝った。カンヌは原田監督の素晴らしい作品をリジェクトした(断った)ってことで」とコメント。
樹木は笑いながら「こういう思い込みが強い人が明らかにいるわけで」と突っ込み「でも、もっと広い意味で見て、すっとまとめる人がいないんです。特に国際映画祭においてはね」と原田監督をフォローした。
椎名は「映画祭は、とにかくお祭り。映画を通していっしょに楽しみましょうという地域の活性化として映画が選ばれているんだと思います」と言った後、東京国際映画祭で各国の映画祭のプログラム・ディレクターらを招き、ネットワークを広げていることを挙げ「東京のクリエイターたちとコミュニケーションをもってもらい、もっと東京国際映画祭が海外に広まっていけばいいなと思っています」と抱負を語った。【取材・文/山崎伸子】