【速報】第28回東京国際映画祭グランプリはブラジル映画『ニーゼ』!日本映画は無冠
10月22日から開催されていた第28回東京国際映画祭が、10月31日に閉幕となり、クロージングセレモニーと各賞の授賞式が行われた。コンペティション部門で東京グランプリに輝いたのは、ブラジル映画『ニーゼ』で、ホベルト・ベリネール監督が笑顔でトロフィーを受け取った。残念ながらエントリーしていた日本映画3本は無冠に終わった。
『ニーゼ』は、革新的な治療に挑んだ精神科医の苦闘をストレートに描く感動の実話で、主演のグロリア・ピレスが最優秀賞女優賞も受賞した。
ホベルト・ベリネール監督は「この作品は、製作に長い時間がかかり、私は人生の13年間を捧げました。主人公は偉大な革命家ですが、彼女を知っている人は少ないです。彼女を世界に紹介したかったです。私は、妻子と過ごす時間を削ってこの作品に捧げてきました」と撮影の苦労を告白しながらも笑顔を見せた。
コンペティション国際審査委員長ブライアン・シンガー監督は「長い時間がかかりましたが、満場一致で決まりました」と報告。「僕は以前、精神異常のあるお子さんたちのバスドライバーをしていたことがありました。そういう意味でも心を打つところがありました」と『ニーゼ』について語った。
3年連続でディレクター・ジェネラルを務めた椎名保は「映画を通して文化交流を図るということを、引き続きやっていきたいです」と、力強く締めくくった。【取材・文/山崎伸子】
<第28回東京国際映画祭コンペティション部門受賞結果>
■東京グランプリ:『ニーゼ』(ブラジル:ホベルト・ベリネール監督)
■審査委員特別賞:『スリー・オブ・アス』(フランス:ケイロン監督)
■最優秀監督賞:ムスタファ・カラ監督『カランダールの雪』(トルコ=ハンガリー)
■最優秀男優賞:ローラン・モラー、ルイス・ホフマン(デンマーク=ドイツ『地雷と少年兵』)
■最優秀女優賞:グロリア・ピレス(ブラジル:『ニーゼ』)
■最優秀芸術貢献賞:『家族の映画』(チェコ=ドイツ=スロベニア=フランス=スロバキア:オルモ・オメルズ監督)
■観客賞:『神様の思し召し』(イタリア:エドアルド・ファルコーネ監督)
<アジアの未来部門>■作品賞『孤島の葬列』■国際交流基金アジアセンター特別賞 デグナー監督(『告別』)
<日本映画スプラッシュ部門>■作品賞『ケンとカズ』
<WOWOW賞>『カランダールの雪』
<SAMURAI(サムライ)賞>山田洋次監督 ジョン・ウー監督
<ARIGATO(ありがとう)賞>樹木希林 日野晃博 広瀬すず 細田守 リリー・フランキー