映画『グラスホッパー』の渋谷スクランブル交差点シーンに隠された秘密とは…?
生田斗真、浅野忠信、山田涼介の共演で伊坂幸太郎の人気小説を映画化した『グラスホッパー』(公開中)。11月7日の公開初日から好調な動員数を記録しているが、映画公開の影響で伊坂幸太郎の原作も初版から10年売上を伸ばし、ついに150万部を突破!原作、映画ともにヒットを記録している。そんな本作で、観客だけでなく業界内でも特に話題になっているのが劇中セットや美術のすばらしさだ。
美術担当の平井淳郎氏によると、ナイフ使いの若き殺し屋・蝉(山田涼介)の相棒である岩西(村上淳)の事務所は、「ひと昔まえのスナックやキャバレー」を参考にしたそう。“岩西らしさ”を出すために小物などの細部にまでこだわり、ジャック・クリスピンのレコードジャケットは、実際にミュージシャン役のモデルを用意して、今回の映画のために撮影をしてつくったという。
また、物語のカギを握る“渋谷スクランブル交差点”の衝撃的なシーンは、実は千葉にあるショッピングモールの跡地に実寸大のセットを組み、撮影・合成されているのだが、セット撮影という事実に業界関係者からも「実際の渋谷にしか見えない!」と驚きの声が広がっている。このリアルな渋谷を再現するため、瀧本智行監督率いる撮影部隊は何度も足を運び、実際の渋谷スクランブル交差点の光源や音を計測。セットやライティングも合成する際に違和感が出ないよう計算されているというから驚きだ。
このセットは、道路の汚れ具合やポスター、某コーヒーショップも忠実に再現されているが、平井氏は「ハロウィンの日に起こる事件から物語がスタートするということで、さすがに渋谷でロケをすることが難しく、別の場所で交差点を再現することにしました。事前にミニチュア模型をつくり、照明部、制作部、演出部、各部と相談しながら準備を進め、最終的には某レンタルショップ、地下の入り口、交番をつくり渋谷の映像とともにVFXチームの手によって仕上げたのです」と明かしている。
さらに、キャラクターのカラーリングについては監督の意向で蝉は黄色、岩西は赤、鯨は黒が選ばれ、鯨の部屋に関してはトノサマバッタがグリーンから黒に変色していくことをヒントに少しグリーンを残されているなど、意外なこだわりが貫かれ、まだまだ見どころが満載な『グラスホッパー』。まだ観ていない人はもちろん、既に鑑賞した人も今度はぜひ“細部”に注目してみてほしい。【Movie Walker】