「羊飼いになりたい」ふかわりょうが胸の内を明かす
12月19日(土)、第68回(15年)カンヌ国際映画祭ある視点部門グランプリを受賞した映画『ひつじ村の兄弟』の公開初日トークイベントが開催され、タレントのふかわりょうが登壇した。
本作は、アイスランド辺境の村に暮らす老兄弟と羊の絆をユーモアを交えた語り口で綴る人間ドラマ。40年間口もきかないほど不仲の羊飼いグミーとキディーはある事件を契機に、人生をかけて愛し続けた羊たちを守るため重大な秘密を共有することに。やがてその秘密が彼らを大胆で無謀な行動へとかきたてていく……、というストーリーだ。監督・脚本はアイスランドの新鋭グリームル・ハゥコーナルソン。『ザ・ディープ』(12)のテオドル・ユーリウソンが出演する。
今回、トークイベントに登場したのは、“芸能界イチのアイスランド好き”として知られるふかわりょう。ふかわはまず、アイスランド好きになったきっかけを「フィンランドに行ったときの帰りに地図を見ていて気になった。調べてみたら意外なことが多くて引き込まれて。3ヶ月後に行ったんですが、空港を降りたときに、風が力強くて地球を感じた。荒々しい自然を見たら、別の惑星に降り立った感じもあって。地球が生きていることを確認できたんです」と説明。そして、「人間は全然大したものじゃないことが分かった。地球に住む人間は饅頭に生えたカビと一緒だな、と思ったんです」と付け加えた。
そんなふかわは、アイスランドに毎年行くように。「1年も経たずにあの場所を求めるようになって。3年目からはカメラで妙に羊ばかり撮るようになりました(笑)。『おーい』と声を掛けると、羊たちが一斉にこっちを見るのが愛おしいんです」と、関心を抱く対象が羊になったことを打ち明ける。「ただ、群れの中に、仰向けの羊がいて。羊って一度そうなると窒息死してしまう。だから5年目からは、羊を助けに行っているんです。羊飼いになろうとしている自分がいる」。
アイスランドや羊にハマったふかわは遂に“物件探し”もするようになった。「あるとき、ビョークが別荘を売り出したんです。『イヤイヤイヤ……』と思ったんですが、クリックしてチェックしてしまった。でも、『この場所か。ここじゃなければなぁ』とちょっとガッカリした。そんな『ここじゃなければなぁ』なんていう日本人、なかなかいないかもしれませんね(笑)」と苦笑。「実はいまもなお、羊たちと暮らしたいと思っている。だからこの映画は、フィクションとしてだけでなく、自分に置き換えて見てしまいました」と、映画の感想についても語った。【取材・文/平井あゆみ】