カンニング竹山、主演作の現場に来たくなかった理由とは?
カンニング竹山が主演した映画『守護天使』(6月20日公開)の撮影風景は、『キサラギ』(07)のヒットも記憶に新しい佐藤祐市監督がメガホンを取り、寺嶋しのぶが共演という、まさに“映画”な現場。芸人・竹山はどのようにそれを切り抜けたのか、3人にインタビューを敢行した。
――まずは主演の竹山さんに質問ですが、出演しようと思ったきっかけは?
竹山「いや、お話をもらったからですよ。出たいと言って出られるものじゃないですからね(笑)。ただ、原作がおもしろかったので、僕で本当にいいのかなあと」
――寺嶋さんは竹山さんと夫婦役ということで、どんなお芝居にこだわりましたか?
寺嶋「お芝居をしたというか、私の役は竹山さんをひたすら邪険に扱う役で、にらむ、殴るで、必死に耐えている竹山さんの姿がかわいらしかったですね」
――佐藤監督から見た竹山さんの印象は?
監督「とにかくお笑いの方は、実はまじめな方が大半なんですよ。ナイーブでね。竹山さんもその通りでした。だから、現場に来るのがいやだったんだよね?」
竹山「現場のことも知らないし、ノウハウもないわけですよ。これが一ヶ月も続くのかと、本当にいやになりました。絶対、僕に主役なんて無理と思いましたから(笑)」
――『キサラギ』の評判が高くて、今回の作品はハードルが高くなっていると思うのですが?
監督「あまり考えていないですね。すべては巡り会いだと思っています。作品と巡り会い、そしてキャストが集まって成立する。僕はそんな巡り会いを楽しんで、一本を撮っています。今回、竹山さん、寺嶋さんという俳優さんと巡り会って、本当に良かったです。現場では竹山さんからどんどんアイデアが出てきたりして」
竹山「うそ! まったくのうそですよ(笑)。僕は監督の言うことに『こうですね、ああですね』と、とにかく確認だけしていました」
――監督はとても恐いという噂があったりしますが?
寺嶋「そういう噂は聞いていました。でも、私は結構慣れているんですよ。だから『ああ、また恐い監督なのか』と。でも、そんなことは全然なかったですよ」
監督「女性の方が圧倒的に強いね。それに比べ、男はダメかな」
寺嶋「現場はとてもやりやすくて、勝子役にも思い入れがあって、やって良かったなあと思いました。『キサラギ』の佐藤監督と是非一緒に仕事をしたいと思っていたけど、こういうのってタイミングなんですよね。それに竹山さんと共演するかも、と思っていたら、それが本当になりました。ある日、竹山さんと共演する夢を見たんですよ。それでマネージャーに『私、竹山さんと共演するかも』って話をしたら、実はと言って今回の台本を出してきたんですね。これもタイミングですよね。役の大小に関係はないんです」
竹山「それは勘的なものなんですかね」
監督「もし寺嶋さんと夫婦になったら、浮気なんて絶対ばれますね(笑)」
寺嶋「すぐわかりますよ(笑)」
――今作で主演を務められたことで、今後芝居の世界でやっていこうというお気持ちはあるのでしょうか?
竹山「それは考えてないですよ。僕はお笑いが一番好きだし。でも、芝居もやらせてもらえるならやっていきたいと思っています。芝居の勉強をしてみたいですね」
寺嶋「私は芸人さんとお芝居するのが好きなんです。思わぬ間とか息づかいとか、役者どうしの芝居の時とは全然違いますね。私は芸人さんとお芝居をやらせていただくことが結構あって、宮迫さんとかオセロの中島さんとかね、とても楽しいんですよ」
――この作品はどんな方に見てもらいたいですか?
監督「10代が見ても楽しめるし、20代でも楽しめる。30〜40代もそうだと思います。頼りなかった主人公が真っ直ぐ突き進み、成長していく。とてもポジティブな物語です。だから広い範囲で、笑顔で楽しんでもらいたいという思いです」
竹山「人間に(広くいろんな人に)見てもらいたいです。見終わったら、心がきれいに、というか幸せな気分になれるから」
寺嶋「なが〜く見てもらいたいですね。『キサラギ』もそうだったように、じわじわと広がっていって、映画の公開が終わっても、次はDVDになって見続けられていく。この作品、何か面白いんだよね、という感じで」
終始、和やかで笑いに包まれたインタビューで、ほんわか気分の3人。佐藤監督が答えてくれたように、素晴らしいキャストに巡り会ってできた作品だと感じさせる。竹山扮する中年男性が、女子高生を助けるために奮闘していく『守護天使』は、年齢や性別を問わず楽しめる一本に仕上がっているのでご期待あれ。【取材・文/真野博之】