竹野内豊と江口洋介が『人生の約束』で意気投合!

インタビュー

竹野内豊と江口洋介が『人生の約束』で意気投合!

竹野内豊と江口洋介。“トレンディドラマ”が最強コンテンツだった頃、そのど真ん中で輝いていた2人だ。以来、彼らはずっと最前線で活躍し続け、人気と実力を兼ね備えたスターへと華麗にスライドしていった。そんな2人が、西田敏行主演ドラマ「池中玄太80キロ」などを手掛けた、テレビドラマ界の巨匠・石橋冠の監督デビュー作『人生の約束』(2016年1月9日公開)で初共演。彼らにインタビューし、石橋組の現場について話を伺った。

富山県射水市の新湊地区で、毎年行われる「曳山まつり」をモチーフに、人と人との絆を描く『人生の約束』。竹野内豊演じるIT企業のCEO中原祐馬(竹野内豊)が、親友の死をきっかけに新湊を訪れ、街の人々と交流していく。親友の義兄・渡辺鉄也役の江口は、角刈りにして気性の荒い漁師になり切った。

竹野内は、撮影で初めて新湊に降り立ったが、その時に目にした江口の姿に驚きを隠せなかったと言う。「江口さんはすでに何度か現地入りし、漁師の人たちといっしょに飲んだりしていると、冠さんから聞いていました。富山で江口さんとお会いしたら、別人でした(笑)。いま、隣にいるのは、あの時の江口さんじゃない」。

江口は「あははは」と大笑い。「役柄で角刈りにしたのは初めてでした。俺は東京生まれですが、今回、鉄也役をやるにあたり、自分の私生活的なものは全部取った方が良いなと思ったのです。ずっとジャージでいたし、とにかく漁師になりきる。とことんやってみようという気になる1つの手段でした」。

竹野内は「あの時といまとでは、全然違います」と強調する。「撮影から時間が経って、改めて江口さんとお会いしても、本当に同じ人だったのだろうか?と思います。東京へ帰ってから、一緒に飲んでいる時の江口さんも全然雰囲気が違うし。あの時は、やっぱり漁師だったのだなと。役柄同様、最初は近寄りがたい雰囲気や勇ましさがすごくありましたから」。

江口は、撮影時をこう振り返る。「最初は、竹野内くんが祐馬で、僕は鉄也という関係で出会った感じでした。僕は役柄と同じように祭りを愛している地元の人たちの間に身を置く時間を撮影に入る前から作っていたので、竹野内豊が来たというよりは、祐馬が来たという印象でした。どういうふうに物語が転がっていくのかを常に感じながらやっていくのが面白かったですね」。

竹野内は、江口と2人で飲みに行ったのは、撮影の10日目くらいだったと言う。「撮影でも、だんだん祐馬と鉄也が打ち解けていくシーンを撮っていて、そこともすごくシンクロしていきました。冠さんが、かなりスケジュール担当の方と闘って、我々が演じやすいように、撮影の順番を配慮してくださったそうです」。

江口は、飲みの場で、竹野内とすっかり意気投合したと言う。「撮影の話から、いろんな先輩の話、家族の話など、竹野内くんが、いろんな話題を出してくるのです。それが僕はすごくうれしくて。まさに自分がどう生きているかという話で、思わず酒が進みました。竹野内くん、すごく饒舌になりますよ」。

竹野内は「江口さんほどじゃないです」と笑う。江口は「竹野内くんが聞いてくれるから俺も話す。聞き上手なのです。撮影が終わってからも良い友だちとしてつき合っていただいています」と、うれしそうに竹野内と顔を見合わせた。

クライマックスで、祐馬が曳山をひき、感極まるシーンが印象的だ。「最後の最後に竹野内くんのアップを撮るということで、俺たちも見ていました。ずーっとカメラを回していて、竹野内くんから出てくるものを全員で待つという感じでした」と言う江口。

台本では、さらっと書かれている1コマだが、竹野内は現場で熱いものがこみ上げてきたと言う。「何かに導かれていったというか、そっちの方に引っ張られていた感じでした」。

役柄に真摯に向き合う竹野内豊と江口洋介が、巨匠の組でつむいだ『人生の約束』。2人の味わい深い表情に胸が熱くなる渾身の1作となった。【取材・文/山崎伸子】

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