ケイト主演作『愛を読む人ひと』新進俳優が語る「セックスは物語の要」
ケイト・ウィンスレットのアカデミー賞主演女優賞受賞作『愛を読む人』(6月19日公開)で、ケイトと堂々渡り合ったのが、新進俳優デビッド・クロスだ。演じたのは、ケイト扮する21歳年上のハンナと恋におちる青年マイケル役。繊細で激しい役どころを、彼はどんなふうに演じたのかを聞いてみたい。
純朴で何も知らなかったマイケルが、ケイトと出会って人を愛することの至福感と苦悩、切なさをすべて経験していく。きっと演じたデビッドにとっても、得るものが多い撮影期間だったに違いない。
「そうだね。撮影は全体で1年かかったけど、その間にたくさん中断したんだ。だから僕はその経験を考えるのに十分な時間がもててよかった。役に対しても何度も見直す時間がもてたから、深く物語に入り込むことができた。それはとても長い道のりだったけれど、素晴らしい経験ができた。俳優としてたくさんのことを学んだし。僕はこれが3本目の出演作で、映画のことは何もわからなかったからね。この映画に参加できたことは、僕にとって素晴らしいチャンスだった」
劇中では、ケイトとのセックスシーンが何度も登場する。「あのシーンがどうして重要か。それはラブストーリーだからだよ」と語るマイケル。
「純粋なラブストーリーなんだ。2人があのアパートで過ごす時間は、2人だけの時間だ。ただ2人で一緒にいられる時間、互いを感じあう場所なんだ。マイケルはとてもハンナを愛している。だから小説でもセックスは物語の要になっているし、それによって、愛の形が変化していく様子もわかる。セックスシーンが物語を語っているんだ。情事の終盤で、マイケルが1度だけ主導権を握る場面がある。彼の心の変化を表すうえでも、とても大切な描写だったと思う」
愛し合っていたふたりだったが、ある日ハンナはマイケルの前から姿を消す。その後、ふたりが再会したのは法廷だった! マイケルは傍聴席にいる法学生で、ケイトは被告人という複雑な立場。葛藤し戸惑う心を、デビッドは見事に表現している。現場ではケイトの演技的なサポートはあったのだろうか。
「言い尽くせないほど助けてもらったよ。彼女はとても気さくで、率直で、とてもオープンな人。女優としての経験が豊かだから共演していて不安はなかった。素晴らしい女優だ。彼女は、僕が安心して演技できる雰囲気を作り出してくれた」
ハンナとマイケルは、互いに生涯忘れられない存在だった。でも、なぜふたりはあそこまで惹かれ合ったのか。デビッドはこう解釈する。
「マイケルが彼女に惹かれたのは、彼がとても好奇心旺盛な少年で、全然違う世界に住んでいたからだと思う。彼女は労働者階級で、彼は中流階級の子息だ。あるきっかけで彼は彼女にとても興味を持ち、すぐに恋に落ちる。そして互いに必要な存在になっていく。彼にとっては年齢なんて関係ないんだ。恋するとき、そんなこと考えないよね。彼は彼女を、面白くて、複雑で、素晴らしい女性だと思った。ハンナのそういうところに恋をしたんだろうね」
ケイト・ウィンスレット待望のアカデミー賞受賞に、大いに貢献したであろうデビッド・クロス。彼もまた本作に出演したことで、世界中から熱い視線が注がれるホットな存在となった。ふたりが手をとりあってつむいだ、重厚な愛のドラマをじっくりと劇場で堪能して。【MovieWalker】