小栗旬、リーダシップ術&仕事術の支えは「人間が好き」という思い
人気コミックを原作にした月9ドラマの劇場版『信長協奏曲(のぶながコンツェルト)』(1月23日公開)が、いよいよスクリーンに登場する。主人公となるのは、小栗旬演じる、戦国時代にタイムスリップした高校生・サブロー。普通の高校生のサブローが、織田信長として生きる中、家臣の信頼を得ていく様が印象的だ。
数々の作品で座長を務め、なぜか彼の周りには人が集う。そんな雰囲気が漂う小栗にとって、いつの間にか周囲を魅了してしまう、人間力抜群のサブロー役はまさにハマり役。そこで小栗に「心がけているリーダーシップ術はあるか?」と聞いてみると、「特にないんですよ」とにっこり。「基本的に人間が好きなんです。この人、好きだなと思って人と接するようにしています」という答えが返ってきた。
現代の高校生がタイムスリップし、自分の顔と似ている織田信長に見込まれて、病弱な本物の身代わりとなることから始まるストーリー。はじめは逃げ腰だったサブローだが、次第に「戦のない世を作ろう」と決心し、本物の信長が嫉妬するほどに家臣からも慕われていく。
小栗は「とてつもない理想論を掲げているサブローが、それを信じ続けて、やり続けていることが一番大事だと思ったんです」と、サブローを演じる上での思いを吐露。「彼は、『争いごとがない世の中を作りたい』と本気で信じている。だからこそ、みんなついてきたんだと思います」と、家臣の信頼を勝ち得た理由を、サブローの邪念のない「信じる力」だと分析する。
自身も人を信じやすい性格だといい、「これまで、そんなに人間関係や友人関係で痛い目に遭っていないのかもしれないですね。だからこそ、人を信じやすいのかもしれない」と笑う。サブローのような大らかさを持った小栗にとっても、石井あゆみの人気コミックを「アニメ」「ドラマ」「実写映画」で描くプロジェクトにはプレッシャーもあった様子。一大プロジェクトを駆け抜けた今、「ホッとしている」と正直な気持ちを打ち明ける。
「いつも主演をやるときは、大変だなぁとも思うんですよ。それに役者業自体も実際、しんどいものですしね。重たい話を演じるとなると、普段の生活もなかなか楽しい気持ちで過ごせなくなったり。役や作品によっては、『生活しにくくなるな』と思うときもあります」と、より深く、真摯に向き合っていけばいくほど、役者業は「しんどいもの」でもあるという。
それでも彼を役者として作品に向かわせているのは、「芝居が好き」という純粋な情熱。そして今、新たに感じているのが、「継続の重み」だと力強く語る。「こうして一つのことを続けていると、大事な出会いもあるし、いい話をくれる人も増えてくる。やってきたことの積み重ねができてくるんです。やっぱり何事も、続けることが大事だなと実感しています」
ものづくりに取り組む上では「コミュニケーションが大事」と持論を話す。「コミュニケーションをとらないと、曖昧になってしまうことって多いと思うんです。わかったような気持ちになって過ごしてしまうことが多くなってしまうので、“交わす言葉”というのがとても大事になってくる。仕事を続けていると、次第にみんなと話す機会も増えるもの。そうすると足並みをそろえて現場に入れるという感じもあります」
継続の力を噛み締め、圧倒的な熱量で作品に挑む小栗旬。キャスト、スタッフの育んだチームワークがビシビシと伝わる『信長協奏曲(のぶながコンツェルト)』で、ぜひ彼の魅力を再確認してほしい。【取材・文/成田おり枝】