石井杏奈、被災地の現状に「言葉がでなかった」
E-girlsの最年少メンバーであり、女優として活躍する石井杏奈。昨年3月にNHKで放送されたドラマを再編集し上映する『LIVE!LOVE!SING! 生きて愛して歌うこと 劇場版』(1月23日公開)では、女子高生という等身大の役を演じ、東日本大震災の爪痕が残る福島県を訪れた。初めて見る景色から何を感じたのか、10代の本音を聞いた。
本作は東日本大震災に被災し、現在は別々の場所で暮らす高校生たちが、小学生の時に埋めたタイムカプセルを掘り起こすため、電車を乗り継いで故郷の福島を目指す物語。ドキュメンタリーっぽく撮りたいという監督の意向もあり、リハーサルやテストなどはいっさいなし。劇中で見られるリアクションがありのままを語っている。「テレビなどで見た映像そのままで、最初は言葉がでませんでした。これはセットなんじゃないか?という現実味のない感覚でした」と初めて見る景色に衝撃を受けたという。
彼女とNMB48の木下百花や前田航基ら共演者たちとは年齢も近く、現場の雰囲気は和気あいあいとしたもの。「一緒に車の中で福島弁を練習したりしてました。でも、福島に近づき外の景色が変わっていくうちに言葉が発せられない雰囲気になっていきました」と、初めて訪れる福島の現状を見て、みんなが同じような感情を抱いていたそうだ。
本作ではほぼ素に近い役だったが、女優としての楽しさも少しずつわかってきたそう。「『ソロモンの偽証』の時はあまりに自分とかけ離れすぎていてなかなか役に入りきれなかったけど、経験を重ねるうちに、いまだったら、こうやって演じているな…と想像できるんですよ。自分じゃない誰かになれるのが楽しいです。オンとオフの切り換えもまだうまくできていないと思っているんですけど、撮影期間中に友人と会うと“顔が変わった”って言われるので、自然と役に入り込んでいるのかもしれませんね」。
「昔は保育士や看護師になるのが夢でした。女優の仕事を通して昔の夢が叶えられればいいなと思います」と、今後演じてみたい具体的な役柄に加え、「思い描いた映像を実現するという事に興味があるので、プロデューサー業や監督業への憧れはあります。でも、今はしごかれているのがふさわしいかな?(笑)」と将来的な夢も語ってくれた彼女。2016年は本作以外にも『世界から猫が消えたなら』(5月14日公開)や『四月は君の嘘』(秋公開)など出演作の公開が決まっており、女優としてさらなる飛躍に期待したい。【取材・文/トライワークス】