ジョニデに負けない?“いぶし銀俳優”エドガートンの役作りとは?
FBI史上最悪の汚職事件の顛末を描いた『ブラック・スキャンダル』(1月30日公開)。実在の凶悪犯ジェームズ“ホワイティ”バルジャーに扮したジョニー・デップの怪演ぶりが話題の本作で、主要キャストの1人を演じているのが実力派俳優ジョエル・エドガートンだ。今回、FBI捜査官ジョン・コノリーを演じるにあたり、こだわりのエピソードを詳細に語ってくれた。
ジョエル・エドガートンといえば、近年も『ウォーリアー』(11)などで玄人好みの渋い演技を披露し、高い評価を得ている演技派だ。凶悪犯バルジャーが逮捕された時からこの事件に興味を持っていたという彼は、自らが演じたコノリーについて「とても複雑だ。二面性があり、とても利己的ですごく野心的。彼は悪い奴でもあり、普通の人でもあり…。そんな彼の複雑な心理が僕を興奮させたんだ」と分析している。
さらに、「いい人すぎないように演じるのが大変だった」と、コノリー役へのアプローチの難しさを語ったエドガートン。FBI捜査官でありながら、幼なじみでもあるギャングのボス・バルジャーと手を組み、権力を手にしていくコノリーは、同僚や妻、バルジャーの前で様々な“顔”を使い分ける。「利己的で堕落した警察じゃなくて、妻を愛した夫だし、道を誤ったけれど、元はいい捜査官だったんだ。良かれ悪かれ、いろんな顔があることを、“見せない”のは間違いなんじゃないか。だから、平面的な“単なる悪人”にならないように気をつけたんだ。厄介だったよ」と、役作りの難しさを明かしている。
また、ボストン訛りのあるコノリーになりきるため、「テレビのインタビューや、裁判所で議論しているところ、ドキュメンタリーなどたくさんの映像素材を参考に、彼の外見や、動き方、特に話し方と声はそこから学んで、彼のアクセントを作っていった。本や当時の同僚からの情報を集めたりもした」と語るエドガートン。刑務所にいるコノリー本人を訪ねることは“あえて”避けたと語る一方で、実在の犯罪者を演じるにあたり、綿密なリサーチを重ねたことが窺える。
ただ、そんなこだわりを持つ彼でも、ジョニー・デップには一目置いているようで、「僕は若い時から彼の大ファンだったし、今でも触発されている。だからそういう人と共演できるのはワクワクする。彼は本当にキャラクターに変身してしまう人だから、共演していて驚嘆するよ。外見だけでなく、静かな危険さを感じさせる演技でバルジャーの性格になりきってしまうんだ」と大絶賛。憧れの人との共演を心から楽しんだようだ。
そんな彼らの素晴らしい演技合戦が堪能できる『ブラック・スキャンダル』。実在の人物になりきった、エドガートン渾身の演技をぜひスクリーンでお見逃しなく!【Movie Walker】