オスカーを席巻している英国人は、私立校出身者ばかり
現地時間の2月28日に開催される第88回アカデミー賞授賞式では、主演男優賞及び女優賞、そして受援男優賞及び女優賞の20人が全員白人で有色人種がいないことから、白すぎるオスカーが物議をかもしている。
しかし昨今指摘されているように、その白人のうち10人がイギリス系俳優(1人はスウェーデン人)で、「アカデミー賞がイギリス人に席巻された」とまで言われているほどだ。
そんな中、少々興味深い調査結果が明らかになった。Sutton Trust foundの調査結果によれば、ポップスターや俳優などイギリスのトップアート界を席巻しているアーティストたちの42%、英国アカデミー賞受賞者の19%が私立校出身者だという。また英国一の名門であるイートン校でウィリアム王子と同級生だったエディ・レッドメイン、そしてケイト・ウィンスレットなど、オスカーも手にしている英国アカデミー賞受賞者たちの62%が、レッドルーフス・シアター・スクールといったインディペンデント・スクールで教育を受けているという。
英国オスカーまたはオスカーは受賞していないものの、ノミネートされた経験があり、将来受賞の見込みがある実力派俳優たち、例えばベネディクト・カンバーバッチやダミアン・ルイスも、授業料の高さで有名なプライベートスクールを卒業しているほか、キャリー・マリガン、レイチェル・ワイズ(オスカー受賞者)、ヒュー・グラント、エマ・ワトソン、ダニエル・ラドクリスなども、プライベートのドラマスクールなどで演技の教育を受けている。
オスカー女優のヘレン・ミレンは2年前のインタビューで、「親が学校に寄付できるような家の子供たちしか、プライベートスクールで演技の指導を受けられない現状がある」と語っていたが、現実的には、裕福な親の元に育ち、最良のプライベートレッスンを受けた英国人俳優たちが、実力を兼ね備えて英国アカデミー賞を受賞し、そして同受賞者と重複することが多いオスカーを席巻する、という構図が成り立っていることになる。
一方のアメリカは、外見的な人気が先行し、実力がないまま人気を博してスターになる俳優が多くなっている傾向にあると言われれており、教育においても外見的な人気においても、アメリカ社会では未だに黒人が不利な状況にあるのが現状だ。
しかしこれらの結果を踏まえて、昨今の映画界や現在のオスカーノミネート者をみるにつけても、黒人のみならず白人のアメリカ人俳優でさえも、その存在感が危うくなってきているという現状が改めて浮き彫りになった。【NY在住/JUNKO】