『アーロと少年』松重豊&八嶋智人&片桐はいり「絶妙なキャスティングだと思った」
ディズニー/ピクサーのアドベンチャーアニメーション『アーロと少年』(3月12日公開)の日本語吹替版で、恐竜一家のボイスキャストを務めた松重豊、八嶋智人、片桐はいりにインタビュー。3人ともハマリ具合が絶妙だ。個性豊かな恐竜に息を吹き込んだ3人の愉快なクロストークをお届け。
なんといっても設定が斬新だ。本作では、地球に隕石が衝突せず、恐竜が絶滅を免れた架空の世界を舞台に、文明と言葉をもつ恐竜と、言葉をもたない人間の少年との出会いと冒険を描く。松重はアーロの父親・ブッチ役、八嶋は弟・ナッシュ役、片桐はおてんばな姉・ラムジー役を演じた。
松重「小劇場系の3人が恐竜一家の役をあてがわれたのは、絶妙なキャスティングだと思いました」とうなずく。「小さい劇場だと、『俺は宇宙人だ!』と言った瞬間から宇宙人になり、『俺はティラノサウルスだ!』と言ったらティラノサウルスになる。僕らとしては、これまでいろいろと闘ってきたので、ああ、そう来たか!という感じでした」。
八嶋「日本語吹替は、骨格が近い人の方がハマリやすいと聞いたことがあって。確かにそうかなと」。
片桐「初めて吹替にチャレンジしましたが、すごく厳しかったです。恐竜なので肺活量が大きいと思ってやってくださいと言われたりして。きっと息はくさいんだろうなとか、考えながらやりました」。
恐竜が絶滅していない世界の描き方がなんともユニークだ。
松重「肉食恐竜が牛を飼っていて、草食恐竜が畑を耕しているというのがすごい」。
八嶋「恐竜の骨格とかも、監督たちは知り尽くしているという大前提があり、動きにも説得力があるところがすごい。子どもを抱く時も首を使ったりしていて、意外とぶれがない」。
片桐「恐竜が畑を耕す姿にはビックリしました。動きが良いですよ。私たちってアニメの動きに影響を受けている世代ですよね」。
松重「確かに、俺たちがスラップスティックコメディの基本を考えると、いわゆるチャップリンやキートンとかではなく、『トムとジェリー』など、アメリカのアニメーションなんだよね。コントやギャグは、そこから植え付けられた感じがする」。
八嶋「あるある!劇団でもそういうシーンをやりたいと思った。ビヨヨ~ンと手が伸びたり、足がくるくると回ったら良いなとか。実際、そういう気持ちで芝居をしてた(笑)」。
最後に、感動ポイントをそれぞれに質問してみた。
松重「エピローグがすごく良いんです。そこから先、2人がどうなっていくのかを考えていける。そこが、意外とおじさんの涙腺を刺激するんです」。
八嶋「未熟な主人公が旅に出て成長して帰ってくるという構造は、大昔の神話からあって、そこは変わってない。でも、本作は、最後にもう1つ成長があるんです。そこは、大人も子どももびっくりしますよ。また、エンドロールで、せっかく涙が乾いたところに、もう1回泣けちゃう」。
片桐はいり「アーロとスポットは、言葉が通じないけど同じ冒険をしていくなかで、友情が芽生えていく。そういうところにすごく感動できるなと思います」。
ノリノリかつ饒舌に『アーロと少年』について語ってくれた3人。それぞれにぴったりハマった恐竜一家も、本作を大いに盛り上げているので、大いに楽しんでいただきたい。【取材・文/山崎伸子】