第88回アカデミー賞、ワーストドレッサーは誰？

今年も豪華なドレスで彩られた第88回アカデミー賞授賞式のレッドカーペット。ファッションには好みがあることを前提に、10社以上のメディアのデータを基に、ワーストドレッサー賞をまとめてみた。

毎年メディアで酷評されているせいか、今年は主役となるハリウッド女優たちが大健闘。例年のようなインパクトの強いワーストドレッサーが少ない中で、今年も断トツの1位に選ばれたのは、ワーストの常連でモデルのハイディ・クルムだ。今回ハイディが選んだのは、マルケッサのライラックと白のシフォンドレス。アシンメトリックなデザインと胸元の大胆なカットアウト、派手な花の飾りが2か所に施されたデザインは、「ごちゃごちゃしすぎ」「またやった」「レッドカーペットのドレスではない」と酷評された。ここまでワーストの常連になると、着たいものを楽しんできているようにも思われる一方で、モデルとしてのセンスが問われている。

ハイディと互角のワーストは、オスカー女優のウーピー・ゴールドバーグ。オフショルダーの黒いドレスは、故ベティ・デイヴィスの『イヴのすべて』（50）にちなんでデザインされたドレスだそうだが、肩のタトゥー丸出しでタコを彷彿させるブレスレットリングは、品がないと評判が悪かった。

オリヴィア・ワイルドが着ていた、オフホワイトのヴァレンチノのオートクチュールドレスは、今年のゴールデン・グローブ賞で、アリシア・ヴァキャンデルが着ていたルイ・ヴィトンのドレスを彷彿とさせた。ボトムスはプリーツ、トップスはフロントとサイドが大胆に開いて胸が大きく露出し、背中はエンジェルを想起させる肩の部分以外が大きく露出したデザインで、シルバーのニール・レーンのチョーカー風ネックレスがポイントになっている。大胆でフェミニン、リスクの高いドレスの着こなしには絶賛の声も挙がる一方で、ゴールデン・グローブ賞でも全般的に不評を買ったチョーカーが、「犬の首輪みたい」「エレガントな流れを、カットする不要なもの」「サイドとフロント、バックと、露出が多すぎることで、ドレスの品位を落としている」という厳しい審判がくだされた。

助演女優賞にノミネートされていながら、超シンプルなドレスを着ていたのはケイト・ウィンスレット。愛する主役のレオのサポート役に回ろうと考えたのか、ラルフ・ローレンのストラップレスのシルキーラメのような光沢のある黒いドレスは、「主役のオスカー女優としてはあまりにメリハリなくシンプルすぎる」「全身光沢が安っぽく太って見える」「ゴミ袋を彷彿させる」と酷評されている。

また、ファッショニスタのケリー・ワシントンが着ていたアトリエ・ヴェルサーチの、トップスがレザーのブラック、ボトムスは大胆なスリットが入ったホワイトのモノトーンドレスは、「サドマゾヒズムとグラディエーターが混ざったよう」と、オスカードレスとしてはふさわしくないと評判が悪かった。

同じくファッショニスタのリース・ウィザースプーンが着ていたシルクタフタのオスカー・デ・ラ・レンタのストラップレスのパープルのドレスは、ティナ・フェイが着ていたアトリエ・ヴェルサーチと酷似しているが、ティナは年相応だったのに対し、リースは、「地味すぎる」「普通すぎて残念」という理由で、ダイナマイトボディの持ち主であるソフィア・ベルガラのマルケッサのビーズがあしらわれたダークブルーのドレスは、「デザインがうるさい」と、期待値を下回ったことで評判が思わしくなかった。

他には、助演女優賞にノミネートされていたジェニファー・ジェイソン・リーのマルケッサのストラップレスの胸元とサイドにレースの花があしらわれたペールピンクのドレスは、「ドレスはいいが、似合っていない」「心地悪そう」「着こなしていない」と本人とのミスマッチが指摘されたほか、エイミー・ポーラーが着ていたアンドリューゲンの黒にカラフルの刺しゅう入りのドレス、ケリー・リパのデニス・バッソのドレス、ソフィー・ターナーのブルーグレーのガルバンのドレス、リリー・コールが着ていたヴィヴィアン・ウエストウッドのプラスティックボトルで作られたという、エコフレンドリーなシルバーのドレスが、ワーストドレッサーに選ばれた。

男性陣では、ジャレッド・レトの、蝶ネクタイの代わりに赤い花、赤い縁取りのグッチの黒いスーツとワイシャツが、「チャレンジは認めるが、オスカーに相応しくない」という理由で、『スラムドッグ＄ミリオネア』のインド人俳優のデーヴ・パテールは、「髪がボーボーで、バーバリーのスーツが台無し」と、身だしなみを指摘されている。【NY在住/JUNKO】