「ホラーが苦手」な森川葵、人を殴れずNG連発!?
「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2016」でワールドプレミア上映された『ドロメ【男子篇】』『ドロメ【女子篇】』が本日、3月26日(土)よりいよいよ公開。本作で主演を務めているのが、いま注目の若手女優・森川葵だ。ドラマ「ごめんね青春!」の小関裕太とのダブル主演、『ライチ☆光クラブ』の若手監督・内藤瑛亮がメガホンをとるなど話題の尽きない本作について、ゆうばり映画祭を訪れた森川に話を聞いた。
『ドロメ』は、男子校と女子校の演劇部合同合宿を舞台に、男女演劇部員たちが泥の化け物“ドロメ”の恐怖に直面するさまを描いたホラー。同じ時間軸で進行する物語を男子と女子の異なる視点から描いた【男子篇】と【女子篇】の2作が同時公開されるという意欲的な作品に仕上がっている。過去に中条あやみとともに主演を務めた『劇場版 零 ゼロ』(14)でホラーは経験済の森川だが、実は怖いものが苦手だそう。
「私、ホラー映画がダメなんです…。前に出演した『零』はおまじない的なホラー映画。心臓を少しずつドキドキさせられるような感じだったのでまだ大丈夫だったんですが、今回の、変な動きの化け物が出てきたり、壁に泥の女の人の姿が浮かび上がったりするような、いかにも“恐怖体験”という映画は初めてだったので、現場も怖いのかな…と不安でした」
ホラー映画といえば、現場で恐ろしい現象に出くわすのがお約束(?)とも言えるが…。
「廃校で泊まり込みで撮影をしていたのですが、泥の女の人を描いたセットの壁が、現場でその辺に置いてあるんです…(笑)。夜は真っ暗だったので、その前を通るのがすっごく怖くて!(笑)。そんなこともあって、本当に何か出るんじゃないかと、夜は物音がするだけでビクっとしてしまったりしていました。だから怖がる姿は、演技ではなく素の反応が出てしまっているかもしれないですね」
今回演じたのは小春という、ある“想い”を秘めた弱気な女の子。いつも親友にべったりとくっついており、先輩に詰め寄られるとポロッと秘密を明かしてしまうような役どころだ。
「自分をうまく出せない、どこかに依存してしまうような女の子ですね。私も『この子さえいれば他に友達はいらない』みたいなタイプに近いので、その部分は一緒かもしれないです。私も追いつめられると色々と出てくるかも…(笑)。過呼吸持ちという役なのですが、自分が(過呼吸に)なったことがないので、ちゃんとしたイメージが沸かなくて。撮影でとりあえずやってみたんですが、監督に『そうじゃない!過呼吸ってもっと息が吸えなくて…』って言われて叩きこまれて。『本当に倒れちゃうよ!』ってくらい、長~く回されました(笑)」
そんな小春役を演じるにあたり、事前に準備したことは?
「私、事前の準備をあまりしないんです。(台本を)読んだ時の第一印象と、衣装の雰囲気といった見た目で『こんな感じかな』と判断して入るクセができてしまって…。あまり考えずにやっちゃうから、最近はもう少し考えられたらなとは思っているんですが…」
とはいえ役をつかむセンスはピカ一。今回も見事に小春という少女になりきっているが、監督から具体的な演出はあったのか?
「内藤(瑛亮)監督は、“自分が小春だったらこの場所でこうしているかな?”という私のなんとなくの感覚を大切にしてくれて、『ここに座りたい』と言ったら座らせてくれる。違ったら変えてくれる。基本的に、すごく自由にやらせていただきました。だからこそ、具体的な指示があった過呼吸は結構ポイントだったんだと思います」
ホラーではありつつ、青春ドラマあり、恋愛ドラマあり…とてんこ盛りな本作。随所にギャグも入っており、ゆうばり映画祭での上映でも観客席から大きな笑い声がしばしば起きていた。
「ただのホラーじゃない、ホラーコメディなんですね。見ていて笑っちゃいます。でも、怖いシーンは怖い。笑いがあるからこそ、ホラー的要素が際立って怖く見えるのかなと思います」
そしてクライマックスには、なんと爽快なアクションシーンまで用意されている。メイド服姿で金属バットを持ち、化け物にフルスイングをかます森川の姿は見ものだ。
「誰かをバットで殴ることなんて普段ないので(笑)、人を叩くときに力が入らないんですね。そのシーンはスローモーションになるので、力を抜いていると画面に出てバレちゃうんです。自分としては本気でやってみたのですが、どこかで『人を殴ってはいけない』っていう考えがあるのか、どうしても力を抜いているように見えてしまって。そうやって何回も繰り返していたら、『何度もやるほうがみんな辛いから、バシっとキメて!』って言われてしまい、『スミマセン!』って言いながら頑張りました(笑)」
こうして仕上がった『ドロメ』。自身にとって、どのような一本になったのか?
「劇中で水っぽいカレーをまずそうに食べるシーンがあるんですけど、あれ、本当にまずかったんですよ(笑)。本当の、“生”のリアクションですね。そうやって楽しむところは本気で楽しんで、怖がるところは本気で怖がるというように、皆で思いきり演じることができた作品です」【取材・文/Movie Walker】