2年連続オスカー監督賞を受賞したイニャリトゥの仕事ぶりとは?
最新作『レヴェナント:蘇えりし者』(4月22日公開)でレオナルド・ディカプリオにアカデミー賞主演男優賞をもたらし、自身も65年ぶり史上3人目の快挙となる2年連続の監督賞を受賞したアレハンドロ・G・イニャリトゥ。そんなイニャリトゥ監督の仕事ぶりに迫る特別映像が到着した。
本作は、19世紀アメリカを舞台に、ハンティング中に熊に喉を裂かれ瀕死の重傷を負った上に、目の前で息子を殺されたハンター、ヒュー・グラスの復讐の旅を描いた壮絶なドラマ。イニャリトゥ監督が脚本・製作も務め、大自然が猛威をふるう極寒の地で自然光のみを使った9か月間のロケ撮影を敢行した渾身作だ。
今回到着した映像では、ディカプリオが「映画作りにおいてアレハンドロは真の天才だ。決して妥協しない」とイニャリトゥ監督の信念を明かす。その言葉を裏付けるようにイニャリトゥ監督は「このプロジェクトは5年をかけた私の夢だった」と本作への想いを懐述。なかでも、こだわったという原野でのロングショット撮影は、スタッフ・キャストの誰にとっても初めての経験で、“とんでもない”チャレンジとなったという。
撮影は冬のカルガリーで行われ、日照時間が非常に短かかったため、撮影するチャンスは短時間に限られ、更に撮り直せる保障は無かった。「やりがいがあって、楽しい撮影だったが、良いものを手にするには時間がかかった。我々は特定の趣と雰囲気を維持したかったので、忍耐強く追求しなければならなかった。特定の状況をつくるという意味では、グラスの役どころと同様に“罠を仕掛ける猟師”になったのだ」と撮影を振り返っている。
また、『ゼロ・グラビティ』(13)『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』(14)に続いて本作で史上初となる3年連続アカデミー賞撮影賞を受賞したエマニュエル・ルベツキも「アレハンドロは、他の監督と違ってわずかなセリフで印象的な映像を作る」とイニャリトゥ監督を絶賛。映像では、名だたる監督と協業してきた経験者をもうならせる手腕を垣間見ることができる。監督自身も「本作は、言葉で伝えるのはでなく、見せる映画だ。言葉や、セリフではなく、物事を見せる」と語っている。
こうした困難の果てに生み出された圧巻の映像と、鬼気迫るディカプリオの演技、そして坂本龍一の音楽も相まって、強烈な“映画体験”を堪能できる本作。ぜひ劇場のスクリーンで味わってみてほしい一本だ。【Movie Walker】