行定勲監督「美しい熊本を取り戻したい」映画の力で復興誓う

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行定勲監督「美しい熊本を取り戻したい」映画の力で復興誓う

熊本出身の映画監督・行定勲監督が、4月19日に日本外国特派員協会で開催された「ショートショート フィルムフェスティバル&アジア 2016」の記者会見に出席。16日未明に起きた本震を被災した経験と今の熊本の状況を語り、「美しい熊本を取り戻したい気持ちでいっぱい。復興の道を辿らなければならない」と力強く復興を誓った。

「ショートショート フィルムフェスティバル&アジア」は、米国アカデミー賞公認・アジアで最大級の国際短編映画祭。6月2日(木)から6月26日(日)まで開催される。この日の会見には、レスリー・キー、LiLiCo、別所哲也も登壇した。

本震で被災した行定監督は、「ものすごい揺れだった。ホテルのロビーで明かして、電気も通っておらず、水も出ない。それが三日間続いた」と述懐し、「県民はとても疲弊している。余震が怖くて家に入れない」と状況を報告。「今、風が吹いてビルからミシッと音がするだけで体が構える。こういうストレスにみんなが陥っている」と明かした。

今年のクロージング作品として、行定監督が、高良健吾をはじめとする熊本にゆかりのある俳優、著名人とともに作った映画『うつくしいひと』の上映が決定している。昨年10月に撮影が敢行され、地震で倒壊した熊本城のかつての姿も映し出されている。行定監督は「熊本のよさを知らせたいと初めて自分の地元で撮った作品。まさかあの強靭なイメージのある熊本城が崩壊するとは思っていなかった」と驚き、「作品の中にかつての熊本の美しさがある。はりさけるような思い」と悲痛な気持ちを告白。

しかしながら、被災地をまわる中、「映画を撮ってくれてありがとう」と声をかけられることが多いと話す。「作品を撮れていたことがこういう形になるとは思っていなかった。この作品を媒介に、映画の力として熊本に力を与えてもらえるようなチャリティができないかと模索している」と、熊本の美しさを捉えた映画の力を積極的に復興に役立てたいという。

また、見た目ではわからない被害の状況があるとも訴えた。「倒壊した部分というの局地的に見える。そうじゃない部分を浮き彫りにしていかなければいけない」と行定監督。別所も「映像が様々な人をつないで、世界へとメッセージをつないでいく場になっていく。映画祭が復興の一助になれれば」と真摯に語っていた。【取材・文/成田おり枝】

■ショートショート フィルムフェスティバル & アジア 2016
日程:6月2日(木)~6月26日(日)
会場:(東京)表参道ヒルズ スペース オー、ラフォーレミュージアム原宿、シダックス・カルチャーホール、アンダーズ 東京 Andaz Studio、iTSCOM STUDIO & HALL 二子玉川ライズ
   (横浜)ブリリア ショートショート シアター
※開催期間は各会場によって異なる。また変更になる場合あり


大林宣彦監督らが登壇!“動画”がテーマのトークイベントも開催!
■エンタテインメント街づくり研究会 映像と空間のシンクロニシティ ~街・音楽、そしてになる新たなるコミュニティ~
日時:6月3日(金) 18:00~20:30
ゲスト:佃 尚能(映像ディレクター・クリエイティブディレクター)、森江康太(ディレクター・CGアニメーター)、大林宣彦(映画作家)、小林剛(映画プロデューサー)、中川右介(評論家)、スミネム、長添雅嗣(映像作家)、玉置泰紀(?Walker総編集長)、別所哲也(SSFF?? &? ?ASIA?代表?)
会場:表参道ヒルズ スペース オー
料金:前売1800円 当日2000円?
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