今旬女優・飯豊まりえ「“地味顔”なのは自覚しています」
12年の女優デビュー以降、怒涛の勢いでキャリアを重ね、最近では大手企業広告CMや、月9ドラマ「好きな人がいること」のレギュラーキャストにも抜擢された飯豊まりえ。ヒロインを演じた映画『MARS(マース)~ただ、君を愛してる~』(6月18日公開)のインタビューで、今旬な女優の胸中を聞いた。
「嫉妬とかはないですけど、私、自覚があるんですよ。自分が地味な顔だっていうのは(笑)。ルックスに自信がないので、お芝居でほめてもらえるようにしたいんです」。「Seventeen」の専属モデルとして誌面に登場しながら、最近は女優としての活躍も目立つ飯豊。会ってみると親しみやすい笑顔の裏に、どこか不安げな顔が見え隠れしていた。
「自分でもナイーブな性格だと思います。じつは自己啓発本とかも読んだりするぐらい、メンタルが弱くて(苦笑)。でも、自分に自信がないからこそ『これよりも下がることはない』とも思っていて、これからいろいろ経験していけばいいし…という開き直った気持ちも同居しているんです」。
モデルとしては「ニコ☆プチ」「nicola」の専属モデルを経験している“エリート”といわれているが、女優業はまだまだ勉強中で地道に経験を積み重ねている最中だという。「焦りは感じています。20歳になるまでには、お芝居をもっと勉強しておかないと…。今は与えられたものに感謝して、一つ一つクリアしていけば、結果を出せるって信じてやっています」。
そんな飯豊にとって、今回のヒロイン役は願ってもないタイミングだった。「すごく良いチャンスをいただけたと思います。期待に応えられるか不安な部分はありましたけど、共演の藤ヶ谷(太輔)さんと窪田(正孝)さんのお芝居から何か学ぼうと、無我夢中でしたね」。
「藤ヶ谷さんはいつも完璧」と飯豊は言うが、彼からは共演者への心配りも学んだ。「藤ヶ谷さんに『ちょっと不安なんですよね…』と相談したら、すごく自信が出る言葉をかけてくださったんです。『(飯豊が)一生懸命やってくれてるから俺も演じられてる。俺も演じやすいように一生懸命やるから』と。周囲への気遣いはさすがだなと思いました」。
一方、窪田の演技にはただただ圧倒されっぱなしだったとか。「窪田さんに『感覚でやれば良いんだよ』とアドバイスしていただいたんですが、私にはその“感覚”がよく分からなくて(笑)。窪田さんはいつも自然体なのに、カメラの前でスイッチが入るとものすごく深い、濃い演技をする。『なるほど、これが“感覚”か…』と思いながら、その演技に毎回鳥肌を立てて見ていました」。
今回の『MARS(マース)~ただ、君を愛してる~』は、1~3月に先行して放送されたドラマの半年後を描く劇場版。キュンとして泣ける、ピュアで残酷なラブストーリーだが、飯豊は「現場では毎日泣いていました」と言うほど、苦悩しながらヒロインを演じていった。その分反響も大きく、手応えもあったようだ。
「ブログのコメント欄にも年上の方が増えて、皆さん、私に人生のアドバイスをくれるんです。私が心を病んでいると思われたのか、メンタルケア的なメッセージをくれたり(笑)。Twitterで嬉しかったのは、『まりえちゃんのすごく地味で、素朴な感じが好きです』というコメント。やっぱり地味なのか…と感じつつ、役柄と合ってるなら、これはこれで良かったと思います(笑)」。
等身大の言葉遣いと感覚的な話し方でインタビューに応じてくれた飯豊。しかし、去り際に「いっぱい質問してくれてありがとうございました」とお辞儀をする律義さも併せ持っていた。「飯豊まりえって○○な人!」と言い切れない、“多面性”が彼女の魅力なのかもしれない。【取材・文/トライワークス】