綾野剛&YOUNG DAIS&植野行雄、“警察史上最大の不祥事”に挑む覚悟を語る

インタビュー

綾野剛&YOUNG DAIS&植野行雄、“警察史上最大の不祥事”に挑む覚悟を語る

「衝撃作であり問題作として、きちんとエンタテインメントシーンに評価される作品になったと自負している」。映画『日本で一番悪い奴ら』(6月25日公開)に主演した綾野剛は、こう胸を張る。実際に起きた“日本警察史上最大の不祥事”をもとに、あらゆる悪事に手を汚す刑事・諸星(綾野)と彼を取り巻く人間たちの波乱万丈の四半世紀を描く本作。“本気”の衝撃作にどのように向き合ったのか?協力者から共犯者になっていく役柄を演じた綾野、YOUNG DAIS、植野行雄(デニス)を直撃すると、本作に捧げた並々ならぬ熱量が明らかとなった。

でっち上げ、やらせ逮捕、覚せい剤密輸など、諸星の関わる悪事が実話であることに驚く。過激な表現も多く、役者として飛び込むにも勇気のいる作品とも思えるが、脚本を読んだときの感情はどうだったのだろう。

綾野「自主規制やコンプライアンスなど、日本自体が潔癖性になっている時代の中で、『果たしてこのような作品ができるのだろうか』と思ってしまった瞬間に、自分が弱体化していることに気づかされたんです。少女漫画をベースにした映画だって僕は見ます。キュンキュンする映画も素敵な作品が多い。でもそればかりになってしまうと、本当に自分が美しいと思うものはなんなのか見極めがつかなくなってしまうとも思うんです。本作は、道徳を学ぶために不道徳を学ぶような作品。こういった両極の作品があることで、初めて日本のエンタテインメントシーンの底上げになるんじゃないかと思うんです。R-15+作品ですが、その中で誰もが持ちうる熱量を出し切ったと思っています」。

さらに驚きべきは、悪事を描くことに留まらず、自分の信じた道をまっしぐらに昇りつめようとした、悲しくも熱き男のドラマに仕上がっていることだ。 YOUNG DAISは本作を「人間賛歌」と表現した。

DAIS「僕は北海道在住で活動をしているので、北海道警察で起きたこの事件はタイムリーで知っていました。でも脚本には、その実話という部分だけではなく、熱量や勢いの中に身を置いて、激動の中で過ごしたひとりの男の人生が描かれていた。同時に、そのスピード感に、個性的な人たちが巻き込まれていくストーリーだと感じたんです。身近に感じていた事件を、白石(和彌)監督が総指揮者となってエンタテインメントとして描くと考えただけで、ワクワク感しかなかったですね。実話をベースとして、ひとりの男が熱く生きた姿を描いた“人間賛歌”だと思っています」。

またDAISは、「僕が脚本を読んだときにはある程度、配役が決まっていて。一番最初に“綾野剛”って名前があったときに、『綾野くんはこれをどうやるんだろう!?』とすごく興味があった」とも。そして映画初出演となった植野は、2人との共演に感激しきり。映画の現場は、刺激に溢れたものだったと目を輝かせる。

植野「僕は映画に出るのが初めてで、『映画に出演できるんや、ラッキー』みたいな軽いノリでいたんです。綾野剛くんが主演と聞いて、『こんな映画に出演できるなんて』とミーハー心もありながら現場に入りました。するとみんなすごく気合が入っているんです。『これはあかん!』と思いましたね(笑)。迷惑をかけないように台本だけはしこたま読んで挑みましたが、映画って、こんなにみんなが魂を込めて一つ一つに向かっていくもんなんやと驚いて。監督やスタッフもみんな気合が入っているから、がむしゃらについて行こうと思いました」。

綾野「行雄くんは、すごく緊張感と努力を持って現場に臨んでいたのがしっかりと見えました。そういう姿って、やっぱり僕らをも鼓舞するものなんです。行雄くんは映画の現場がすごく合っているから、どんどんやっていった方がいいと思います」。

綾野は「僕にとっての代表作になる」、YOUNG DAISは「本作に関われたことは、自分の人生を左右する大きな出来事」、植野も「刺激的でとにかく楽しかった」と前のめりで喜びを明かす。誰もが惜しみなくパワーを注ぎ込み、真っ黒な悪事と、そこから浮かび上がる驚愕の人間模様を体現した。爆笑と悲哀に満ちた衝撃作と自信をもってオススメしたい。【取材・文/成田おり枝】

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    02年に北海道で起きた警察官による不祥事事件を綾野剛主演で映画化した犯罪ドラマ
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