オダギリジョー「こんなことが許されるのか」と嘆き節。主演映画の初日舞台挨拶を泣く泣く欠席
『海炭市叙景』『そこのみにて光輝く』に続く、佐藤泰志の小説を原作にした函館発信映画の最終章となる『オーバー・フェンス』(9月17日公開)の東京プレミア上映会が7月28日にテアトル新宿で開催され、オダギリジョー、蒼井優、松田翔太、北村有起哉、満島真之介、松澤匠、鈴木常吉、山下敦弘監督が登壇。「この作品が大好き」と本作への深い愛を語ったオダギリだが、「諸事情で初日の舞台挨拶に出られない」と告白。「こんなことがあるのか」と自らの多忙スケジュールを嘆いた。
本作は、原作者の佐藤が、作家活動に挫折しかけた時代に職業訓練校に通っていた自身の体験を基にした物語。この日は、腰痛のため杖をついて登場したオダギリ。
「サプライズがある」と切り出し、「初日に僕がいない。主演の作品で初日舞台挨拶に欠席しちゃうなんて、そんなことが許されるのか。でもそのスケジュールはハナからダメだったんです。すいません!」と肩を落とした。初日となる9月17日は「海外に行ってしまっている」そうで、「今日をもって僕はこの場から消えることになる」と絆を育んだメンバーと初日に立てないことを嘆くことしきりだった。
蒼井にとっては、本作が20代最後の作品となった。蒼井は「すごく難しい役だった」と振り返り、「何かつかめたという瞬間がないまま撮影を終えた。出来上がりを観るのが怖かった」と激白。しかし完成作を観て、「私の存在がどうこうではなく、素晴らしい監督、キャスト、スタッフの皆さんがいれば、こんなに自分の中で大切に思える作品になるんだと気付かされた。『この経験を大切に30代を突き進もう』と思えた作品」と今後の自分にとっても、大きな刺激となったことを明かした。
山下監督は、函館発信映画の最終章に挑む上で「プレッシャーがあった」というが、「出来上がったものが想像を超えたものになった」と清々しい笑顔。「30代の最後にこういう映画をとれたことが、この先の自分に影響を与えると思う。みんなの力を出し切ってフルスイングした映画」と胸を張り、会場から大きな拍手を浴びていた。【取材・文/成田おり枝】