安藤サクラ、女優業は「これが最後かも」と思っていた!転機を告白
第29回東京国際映画祭(TIFF)日本映画スプラッシュ部門『島々清しゃ(しまじまかいしゃ)』の舞台挨拶が11月2日にTOHOシネマズ六本木ヒルズで開催され、新藤風監督、伊東蒼、安藤サクラが登壇。約1年間の充電期間を経て本作に臨んだという安藤が、「この作品をやるまで、もしかしてもう(女優を)やらないかもと思っていた」と告白した。
本作の舞台は沖縄。耳が良すぎて少しの音のズレさえも頭痛のタネになってしまう小学生のうみと東京からやって来たヴァイオリニスト・祐子が、音楽によって心を通わせていく姿を描く。『百円の恋』で最優秀主演女優賞を受賞するなど、存在感を放つ演技派女優として知られる安藤だが、2014年10月の『白河夜船』の撮影以降、本作の撮影に入る2015年10月までの約1年間、女優業を休んでいたそう。
「これをやることになるまで先のことを考えてもおらず、もしかしてもうやらないこともあるのかもと思っていた」と女優業への当時の心境を明かした安藤。そんな心持ちでいた際に受け取ったのが本作の脚本だった。「役者としてこの作品をやりたいというより前に、『子どもたちとおじいと音楽がある。そんな場所に行ってみたい』と思ってしまった。ものすごい経験になるんじゃないかと思った」と強く惹きつけられたと話す。
撮影中も「もしかしたらこれが最後かもしれない」と思っていたそうだが、現在は女優業への思いも新たにした様子。「今年神社に行って、初めてお願い事をした。これから先も、この肉体がうれしい気持ちになったり、感謝したり、その時間が愛おしく思えるような作品に多く出会えますようにと思った」と真っ直ぐな気持ちを話していた。
新藤風監督にとっては、『転がれ!たま子』(05)以来の11年ぶりの新作。『転がれ!たま子』以降は、祖父である新藤兼人監督と共に暮らし、2012年に兼人監督が亡くなるまで公私ともに支えていた。風監督は「その時間は宝物で幸せな時間」と兼人監督との日々を述懐し、「祖父が亡くなった後、この本を読んだ時に、苦しくても真っ直ぐに進んでいく主人公に魅力を感じた。私も救われた」とコメント。転機となる作品と出会えた女性陣に、会場からも惜しみない拍手が送られていた。【取材・文/成田おり枝】