松山ケンイチ、東京国際映画祭で「パワーと勇気をもらえた」
第29回東京国際映画祭(TIFF)クロージング作品『聖の青春』の舞台挨拶が11月2日にEXシアター六本木で開催され、松山ケンイチ、東出昌大、森義隆監督が登壇。スペシャルゲストとして、吉田沙保里選手と三宅宏実選手、羽根田卓也選手が駆けつけて会場を盛り上げた。
本作は、大崎善生のノンフィクション小説を原作に、天才・羽生善治と「東の羽生、西の村山」と並び称されながらも29歳の若さで亡くなった伝説の棋士・村山聖の実話を描く人間ドラマ。「勝負の世界で頂点を目指して闘う」という映画の内容から、リオデジャネイロ五輪でも活躍した女子レスリングの吉田選手と重量挙げの三宅選手、カヌーの羽根田選手がゲストとして招かれた。
すでに映画を観たという三宅選手は「ハンカチがいります」と涙したことを告白。「聖さんは命を削ってでも、プロ棋士として最後までやり続けたいと思っていた。もし私が病気だったらどうするだろうと思った」と話し、「私も最後まで好きなことをやり遂げたいなという気持ちになりました」と村山の生き様から受けた刺激を語っていた。
3選手の登場に喜ぶことしきりの松山は「楽しい時間をありがとうございます。異種格闘技戦を体験したような時間でした」とニッコリ。東京国際映画祭のクロージングとして華やかな舞台挨拶となったが、「メリル・ストリープさんや安倍総理にもお会いできた」とレッドカーペットでの体験を振り返り、「映画祭は圧倒的なパワーと、次に進む勇気をもらえる」と映画祭への参加を心から喜んでいた。
壮絶な役作りをして挑んだ村山役には「人生について考えさせられた」そうで、「病に左右されずに、自分の人生を好きなように燃やしていく。その生き様が好き」と愛情たっぷりにコメント。羽生役を演じた東出は「村山さんの体が悪いことは、将棋界の方達はご存知だった。でもプロ棋士の方達は、盤面を挟んだ時には容赦しない。村山さんも羽生さんも人生を将棋にかけているからこそ、手を抜かない」とプロ棋士の闘いについて語り、「鬼のような気持ちで撮影に挑んだ」と力強く明かしていた。【取材・文/成田おり枝】