小栗旬告白「山田孝之の演技に憧れる」その理由とは?
時代劇アクション『TAJOMARU』(9月12日公開)で、愛に生きる主人公・多襄丸(たじょうまる)を熱演した小栗旬を直撃。彼が同世代の俳優で憧れているのは、「クローズZERO」シリーズで共演した山田孝之だという。さて、その理由とは?
「僕は、爆発的な集中力やエネルギーをもってる俳優さんにずっと憧れてて。同世代で言えば、山田孝之がそういうタイプなんですが、彼の芝居を見るとゾクゾクしちゃう。楽しくてしょうがないって感じで。自分もそういうふうになりたいと思うんですが……」
『TAJOMARU』しかり「クローズZERO」シリーズしかり、スクリーンのなかの小栗旬もエネルギッシュなオーラを放っているが、彼自身は自分の演技をどう思っているのか。
「僕はけっこう頭で考えちゃうタイプ。芝居に没頭したいのにどうしても自分でブレーキをかけてしまう人間なんです。もちろん孝之も頭で考えるタイプの俳優だと思うんですが、『スタート!』ってなったら、集中力のレベルが違う。それを見ると、僕もああなりたいと思います」
そんな彼だが『TAJOMARU』のあるシーンの撮影で、初めて没頭できた瞬間があったと言う。「『用意スタート!』って声がかかってから、なんか体を動かしたかなってくらいは覚えてるんだけど、次の瞬間気づいたら『あれ、なんで俺、風呂入ってるんだろう』って感じになってて」
その幻のシーンとは、多襄丸が愛する阿古姫(柴本幸)を沼から救おうとするシーンだったと言う。「地獄谷の鬼火の沼の前で、変わり果てた阿古から『私のことなんか忘れて』って言われるシーン。阿古が底なし沼みたいなところに沈んでいったので、僕がそこに飛び込み彼女を抱き起こして蘇生させるんです。そのシーンの撮影はぜんぜん覚えてないくらいに没頭できました」
ところが映画完成後、ある悲劇が……。「完成したとき、プロデューサーから、『あの沼のシーン、カットしたから』って言われて。そのこと自体、衝撃的でしたね(苦笑)。でも、そういうふうに没頭できたことで、自分のなかで超えられなかった壁を少し跳べたかなって感じて。そこまで集中できる環境をもらったことは幸せなことだと思いました」
小栗旬が我をも忘れるほど打ち込めた多襄丸役。その情熱はスクリーンに余すことなく映し出されている。自らを貫く男の中の男・多襄丸役で、小栗旬の役者としての熱意を見せてもらった!【Movie Walker/山崎伸子】