『3月のライオン』神木隆之介と佐々木蔵之介はマスト!原作ファンの声とマッチしたキャスティング秘話

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『3月のライオン』神木隆之介と佐々木蔵之介はマスト!原作ファンの声とマッチしたキャスティング秘話

奥深い人間ドラマと、将棋の棋士たちの歩むシビアかつ熱き道のりを描き、男女問わず人気を得ている羽海野チカの人気漫画を映画化する『3月のライオン』(前編2017年3月18日公開、後編4月22日公開)。豊かなキャラクターが魅力とあって、キャスト陣には神木隆之介をはじめ、有村架純、佐々木蔵之介、伊藤英明、加瀬亮ら主役級がズラリと顔を揃えた。「かつてない映画にしたい」と意気込みを語るのは、本作の谷島正之プロデューサー。「原作ファンの声も意識した」という谷島氏に、キャスティング秘話を聞いた。

本作は、孤独を抱える17歳のプロ棋士・桐山零が、同じ下町に住む三姉妹や数々の対局を通して成長していく姿を描く物語。零役を神木隆之介が演じる。これはファンも熱望していたものだが、谷島氏は「日々彼のすごさを痛感している。本当に主役をやっていただいてよかった」としみじみ。キャスティングについては、「製作サイドで考えていたキャスティングがファンの意向と奇跡的にマッチングしました。原作ファンにも満足していただきながら、映画独自のキャスティング、オリジナリティ、面白さを見せたいという欲張りをしました」と胸を張る。

さらに「原作ファンの間では『零の神木と、島田八段の佐々木蔵之介はマスト』と騒がれていました。だからということではないですが、神木さん同様に、佐々木さんも外せませんでしたね」と夢のキャスティングが叶ったことにニンマリ。「あとは、あかり役の倉科カナさんもファンからの要望は高かったんです。彼女も、その演技力はもちろんですが、原作にそっくりでしょ(笑)」。

キャスティングが最後まで難航したのは、宗谷冬司名人役の加瀬亮だと言う。「宗谷は本当に難しかった。将棋の神であり、幻のようであり、彼岸に立つ人であり。さらには羽生(善治)さんをルーツにしているとも言われているでしょう?これは悩みに悩んで、キャスティングを決め込む前にお会いさせていただいて、この摩訶不思議な宗谷という役の捉え方を監督と話し合った上で、加瀬さんに演っていただくことになりました」。

決め手となったのは、加瀬の演技力だ。「神であり、亡霊のようであるというのはファンタジーの世界。でもリアルなプロ棋士の本物感を併せ持たなくてはならない人でもある。ファンタジーとリアルのどちらで行こうかとなった時に、実写化する上では人間のリアリティを監督は追究しようとしていました。棋士であり人間であるリアリティに重きを置いて、きっちりとした演技力で駒を指せる人となったら、俄然、加瀬さんが頼もしかった。初めてお会いした時には、稲妻に打たれたようでした」。

豪華キャスト陣をまとめ上げるのは、大友啓史監督。大友監督にオファーをしたのは、2010年のこと。つまり、大友監督が大ヒットシリーズ『るろうに剣心』を手がける前のことだ。谷島氏は「『3月のライオン』に大友監督というのは意外でした?」と楽しそうに語りかける。確かに、人間ドラマを軸とした本作のメガホンを取るのが、外連味あふれる演出で知られる大友監督というのは意外でもあった。

谷島氏は、大友監督のNHK時代の数々のドラマ作品を見て、「大友監督しかいない」と確信したと話す。「朝ドラ『ちゅらさん』の活き活きとした食卓、『龍馬伝』の幕末の血の匂い、『白洲次郎』『ハゲタカ』のヒューマニズムも迫力があり感動しました。絶対に『3月のライオン』は大友監督で行ける!と思った。2012年に『るろうに剣心』を見て、さらに実感しましたよ」と、大友監督に絶大な信頼感を寄せていた。

本作を「ヒューマン・スペクタクル」と表現する谷島氏。「羽海野先生がタイトルにつけたように、3月という月は、嵐のように過酷な冬と暖かな春が同居する、ふり幅の激しい躍動する季節。生きることは力がいる、という人生についてのヒューマンドラマでありながら、躍動感のある映画にしていきたかったんです」。原作ファンの気持ちを大事に集めた豪華キャストと、2部作として傑作コミックに取り組む大友監督の挑戦が、どのような映画として完成するのか。今から公開が楽しみで仕方ない!【取材・文/成田おり枝】

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