『ファンタビ』公開直前!知ればもっと楽しめる監督&プロデューサーの裏話
いよいよ11月23日(水)に公開が迫る「ハリー・ポッター」シリーズの新章、『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』。主要キャストらが待望の来日を果たし、“ファンタビ”ムーブメントが巻き起こるなか、デヴィッド・イェーツ監督とプロデューサーのデイヴィッド・ヘイマンによるインタビューをひと足早くお届けする!
デヴィッド・イェーツは、第5作『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』(07)から最終章までの4作品でメガホンをとった、シリーズ中で最も信頼が厚いといえる監督。一方、プロデューサーのヘイマンも第1作が始動した1997年から製作を務め、超人気シリーズへと導いた功労者だ。盤石の布陣で臨んだと思われた今作だったが、イェーツ監督は「それでも、怖い気持ちがあるんだ」と本音をポロリ。世界中のファンが待ち望む大作へのプレッシャーは相当なものだったようだ。
今回、前シリーズと違い、製作面で大きく様変わりしたのが、「ハリー・ポッター」ワールドの創造主である原作者のJ・K・ローリング自身が、初めて脚本と製作を受け持ったということ。
そもそも、最初のアイデアは「(主人公)ニュートと魔法動物の“ニセ”のドキュメンタリーを作って、カメラが魔法動物を追跡するのはどうだろう、というものだった」と、ヘイマンは裏話を打ち明ける。「その考えをジョー(J・K・ローリング)に話したら、彼女は『私もニュートのことをずっと考えていて、もうストーリーがある!』と言ってきたんだ」。そんな経緯から、ローリングが脚本を書くことが決定したそう。
しかし、優れた小説家が必ずしも良い脚本家になれるとは限らない。「もちろん、ジョーは素晴らしい小説家だ」とヘイマンは前置きしながらも、脚本への期待が大きいだけに「もし、駄作だったらどうしよう?」と一抹の不安も感じていた様子。
だが「それは駄作なんかではなく、とても優れていたんだ」とヘイマンは笑う。イェーツ監督も「彼女は舞台を新しくニューヨークに設定し、まったく目新しいキャラクターを登場させた。それがなんといっても最初の“新鮮なスタート”となったんだ」と述懐する。
新たな主人公ニュート役に抜擢されたのは、『博士と彼女のセオリー』(14)でオスカーを獲得した英国の若手俳優エディ・レッドメイン。「彼がこのキャラクターにもたらした最も大きな功績は?」という質問に、イェーツ監督は「メランコリー(憂鬱)」と即答する。
「ニュートにはなんとなく寂しさが宿る。孤独を感じさせるものがあるんだ。エディがなんともえいない寂しさを、そのキャラクターにもたらしたんだ」と、旅の途中にニューヨークへやってきた内気な主人公を、魅力的に体現したエディを称賛。
ヘイマンもエディへの賛辞を惜しまない。「彼は他の役者たちにとって、素晴らしいロールモデルであり、リーダーとなったんだ。動物のトレーナーと会い、ムーブメントコーチの指導を受け、キャラクターへの旅路に努力を注いだ。6か月間も準備に尽力する彼は、献身ぶりと知性を持っていながら、エゴがない。つまり、彼はチーム・プレーヤーなんだ」。
前シリーズに続いて、イェーツ監督を指名した理由をヘイマンに尋ねると「彼を愛しているんだ。ただ、シンプルにそうなんだよ(笑)。今回の題材に関して、なぜ彼が完璧かというと、バラエティに富んだトーンを扱える能力があるから」と厚い信頼を寄せる。「ジョーの文章は、極端にダークになったかと思ったら、コメディのシーンへ移行する。実は(これを映像化するのは)至難の業なんだ。彼はそれをいとも簡単にできることのように見せるんだけどね」。
イェーツ監督は、本作の“新しさ”をこんな風に例えている。「あなたの一番好きなレストランで、あなたが今まで食べたこともないような料理が出される。それで、あなたは『ワォ!これは随分違う!』と、思うわけだ。それが、まさに僕が脚本を読んで感じたことだった。おかしくて、感動的で、怖くて、不気味で、いろんなことが展開されていくポッター的なスピリットが、そこにあるんだ!僕たちは今まで食べたこともない新しいディナーを食べているんだよ」。【Movie Walker】