いざピクサーへ!ジョブズのこだわりが生むアイデアの場【ピクサー最新レポート1】
大好評発売中のディズニー/ピクサー映画『ファインディング・ドリー』のMovieNEX。その人気の秘密を探るべく米カリフォルニア「ピクサー・アニメーション・スタジオ」に潜入。観るたびに発見をくれるピクサー作品の、遊び心とインスピレーションの源に迫る!第1回は、クリエイターたちが働くメインオフィスの秘密をご紹介。
広大な敷地には、「スティーブ・ジョブズ・ビルディング」のほか、全体をニューヨークに見立てて「ブルックリン」「ウエスト・ビレッジ」「ソーホー」と名付けられたオフィスが点在。まず目に飛び込んでくるのは、ピクサーロゴとしてもおなじみの「ルクソーJr.」と「ルクソーボール」のオブジェ!
受付では『トイ・ストーリー』のウッディ&バズがお出迎え。右手には、アカデミー賞のほか映画賞のトロフィーがずらりと並ぶ。吹き抜けのロビーはかなり開放的で、とにかく天井が高い! ミーティングスペースの展示は時期によって変わるそうで、この日は『ファインディング・ドリー』のコンセプトアートが飾られていた。
ちなみにメインオフィスがジョブズの名前なのは、売却の危機にあったルーカスフィルムのグラフィック・アニメーション部門を買収した「ピクサー」創立メンバーの一人だから。ピクサーのオフィスをジョブズが設計していること、意外と知らない人も多いのでは? ジョブズはこのオフィスの設計にかなり心血を注ぎ、トイレの位置までこだわったそう。
彼がもっとも大事にしたのは、“クリエイターの活発な交流を生む”こと。左右にオフィスゾーンを置き、真ん中にカフェやシリアルバーやフルーツのあるキッチン、メールルームやショップなどが集まっている。トイレの数も最小限。クリエイターはどこに行くのもこのメインストリートを通る作りになっている。常に社員たちが行き来をし(時にはスケートボードで!)、コーヒーを飲み、冗談を飛ばし合う環境でこそ、ピクサー作品は生まれている。
2階の展示ブースを覗くと、作品ポスターなどに混ざって、ビールパーティなど社内のイベントポスターも。しかも、ピクサーのアーティストたちが本気で作っているから、どれもクオリティが高い! 音楽イベントとカー・ショーを隔年ごとに開催するなど、仕事にも遊びにも本気な、ピクサーの社風が見て取れる。
さらに先へ進むと『ファインディング・ドリー』をフィーチャーした展示が。ラフスケッチや模型、映像、コンセプトアートなど、美術館なみのボリュームだ。違うチームにも、どんなふうに作品が作られているのかを知ってもらうためだそう。最新作公開のたびに展示替えをするため、いましか見られない貴重なものだ。これらのコンテンツの一部は、『ファインディング・ドリー』MovieNEXのボーナス映像内で楽しめる。
メインオフィスと展示だけでも、1日かけて見る価値あり、といった充実ぶり。社内にあるものすべてにストーリーがある、ピクサーらしさが追求されたスタジオだ。【取材・文/Movie Walker】