國村隼とナ・ホンジン監督、リドリー・スコットからのリメイクのオファーに「やりません」
『チェイサー』(08)や『哀しき獣』(10)のナ・ホンジン監督が、最新作『哭声/コクソン』(3月11日公開)を引っさげて来日。本作は韓国の第37回青龍映画賞で5冠に輝き、なかでも國村隼に外国人初の助演男優賞受賞の快挙をもたらした。1月24日にシネマート新宿で本作のプレミア上映会が開催され、ナ・ホンジン監督と國村がティーチインに登壇。2人はリドリー・スコット監督から入ったハリウッドリメイクのオファーについての質問に答えた。
そのオファーに対して韓国の制作会社は「この題材を監督できるのはナ・ホンジンしかいない」と答えたことが報じられた。ナ・ホンジン監督は「それは冗談だと思うけど、たとえハリウッドリメイクをオファーされたとしても、私自身が演出するつもりはありません。でも、國村隼さんはこの昨品に必要だと思うので僕からおすすめします」とおちゃめに答えた。
國村も「ナ・ホンジン監督がメガホンをとらないのなら私も出ません」とやんわり断ると、ナ・ホンジン監督も「じゃあ、両方やらないということで」と笑顔で言い切り会場の笑いを取った。
ナ・ホンジン監督は、裸で滝に打たれるなど過酷なシーンにトライした國村に「本当に申し訳なかった」と恐縮。「撮影を通して國村さんから多くのことを学び、さらに大好きになりました。謝りと感謝の気持ちをこの場で述べたいです」。
國村は笑いながら「台本の段階でわかっていてオファーを受けたので。この役を僕以外の人がやるのは見たくないなと思いました。でも、ひどいことをさせられたというよりは、あくまで僕が自発的に飛び込んだ形です」と優しい表情で語った。
『哭声/コクソン』で國村が演じたのは、平和な田舎の村に大きな変化をもたらす“よそ者”だ。この男の謎めいた噂が広がるにつれ、村人が自分の家族を残虐に殺す事件が多発していく。長編デビュー作『チェイサー』以降全ての作品がカンヌ国際映画祭に公式出品されている若き逸材ナ・ホンジン監督がメガホンをとった。【取材・文/山崎伸子】